彼女の鞄はぺったんこ。

私が今住んでいる地域の中学生高校生は、みんな背中にリュックを背負っている。ほかの地域はどうなのだろう?今どき手提げの角ばった鞄を持って学校に通う子はいないのだろうか。

遠い昔。私は小学生のころからランドセルがイヤだった。5年生くらいから、ランドセルを使わなくなった。そのことを注意された記憶もない。中学生になって、手提げの鞄に真新しい教科書を詰めて学校に行くのが嬉しかった。小学生を卒業し、一歩大人に近づいた、手に下げる鞄の重みでそれが実感できた。

高校生になると、マディソンスクエアガーデンの鞄が流行った。女の子は、持ち手のところに小さなアクセサリーをつけて個性を主張していたものだ。そんな中、ペラペラの薄いカバンをダルそうに下げて学校に来る生徒が何人かいた。長いスカート、パーマの髪、白いマスク。そしてぺったんこの革靴。彼女らは、その鞄と服装で、自らの存在と個性を周囲にアピールしていたものである。私のクラスにもいた。彼女らは別にヤバイ生徒ではなく、ただの女子高生。服装と髪型が周囲と違っていただけだった。クラスの行事にも普通に参加するし、他のグループと暴れることもなかったし。煙草を吸ったりお酒を飲んだりはしていたけれど、それは私たちも似たようなもんだったし。

私のツレは、そのグループの一人に恋をした。よく笑い、よくしゃべり、素敵なツッコミをする頭の回転の速い女の子だった。しかしツレは彼女に積極的にアタックするわけでもなし、あくまでクラスメイトの一人として彼女と接していたのである。・・・私には出来ない芸当。なぜ告白しないのかと聞いたら、「断られるくらいなら、今のままの状態のほうがいい」という返事。

私のツレの恋は実らなかったようだ。実るも何も、なにもしてないのだから受粉をしていないのと同じこと。ツレの想い人は、彼の気持ちを知らないまま、私たちと同じ日に卒業していった。

あのぺったんこの鞄の中に、なにが入っていたのだろう。あの薄さの中に入れておけるもの。それはいったいなんだったのだろう?

大きなリュックを背負い、少し前かがみで歩く中学生高校生が、学校に向かって歩いていく。ぺったんこの鞄を持って、ダルそうに学校へ歩く子がいないこと、それが少し寂しい。



gonbe5515





# by starforestspring | 2024-03-12 06:26 | 思い出 | Comments(0)

あきれてものが言えない

どこまでタガが緩んでいるのか。自分たちの党の国会議員が、国会で厳しい追及を受けているのを知らないはずがないだろうに。自分たちの党に対する風当たりが強くなっていることに気づいていないのだとしたら、実におめでたい方たちである。

<独自>自民党青年局近畿ブロック会議後の会合で過激ダンスショー 口移しでチップ渡す姿も 費用は党が支出

思うに、国会議員たちのことは、頭の外なのだろう。総裁を頂点とするピラミッドに自分が加わっている自覚がないのだろう。写真から察するにベリーダンサーを懇親会に呼び、膝に乗せ、チップを口移しだの、お尻を触るだの、あきれてものが言えない。そしてそれを他社に先駆けて報道をしたのが、バリバリの保守系新聞である産経だということの意味を考えるべきだろう。

これほど自民党がたるみ切っているのに、支持率で大きく水をあけられている野党はさらにひどい。これほど不祥事が続いたら、政権交代となってもおかしくないのに、そういう風が吹いている気配がまったくない。どれほどアホなことをしても、野党よりはマシ・・・これが自民党支持者の本音だとしたら、野党はエラそうにものを言ってはいけない。

次の選挙で自民党は間違いなく議席を減らすだろうけれど、野党が政権を握るとはとても思えない。

岸田総裁は国会議員から地方議員に至るまで、たるんだ気分を締め直すべく、厳しく指導、通達を行うべきだ。もちろん、自分自身のことはまず第一に。


gonbe5515






# by starforestspring | 2024-03-10 09:29 | Comments(0)

鳥山明さんご逝去

私が就職した会社で、最初に配属されたのは営業部だった。いわゆる戸別訪問。「営業はすべての部署の基本。営業を知らなければ会社のことはわからない」と上司から配属理由を説明されたけれど、若かった当時は素直に受け入れることが出来ず、単なる新人いじめではないかと思っていた。

仕事に身が入らない新人にとって、営業というのはある意味便利。外に出てしまえば自分一人なので、私の行動を監視する人はいない。もっと言えば、週や月に課せられたノルマを達成し、さらにそれを上回る成績を挙げていれば、勤務時間中なにをしていたってかまわないのである。先輩方が汗水たらして家のベルを鳴らしまくる間、私は喫茶店でコーヒーを飲みながら漫画を読んでいる。そういうことは珍しくなかった。

そんなふうにして、冬の寒さや夏の暑さから逃避しているときに出会ったのが、少年ジャンプで連載が始まった『Dr.スランプ』である。サンデー、マガジンに馴染んでいた私にとってジャンプは後発漫画雑誌。であるがゆえに、それらとは一味違う作品を多く載せていたのだが、この『Dr.スランプ』には驚いた。何しろ「んちゃ!」である、「キーン!」である。

ページをめくるたびに出てくる全てのものが目新しく面白かった。中でも一番のお気に入りはコーヒーポットの形をした『Coffee ポット』という喫茶店。ほかにもバイクや太陽やパトカーや時計や・・・。とにかく登場するものみんなが“楽しい”。こういうものを創り出す作者の鳥山明さんは天才だと思った。ワクワクした。

その鳥山明さんが亡くなっていたそうだ。享年68歳。私は『ドラゴンボール』にはなじめなかったし、営業部から他部署に異動したあと喫茶店に入ることも激減したので、その後の作品に触れたことはない。私にとってはアラレちゃんやセンベエさんやガッちゃんこそが鳥山明さんである。あんまり真面目なファンとは言えない。だけども、そういうファンがいても先生は許してくださると思う。

『Dr.スランプ』に登場した全てのキャラクター、造形物から受けた驚きやおかしみは忘れない。その後私は映画にのめりこむことになるのだけど、「映画を観る」ときの視点や嗜好にも、この作品から受けた影響が色濃く残っていると思う。

心からご冥福をお祈りいたします。ありがとうございました。



gonbe5515




# by starforestspring | 2024-03-09 08:11 | 時事 | Comments(0)

月岡温泉一泊二日 おまけ

私は今回の月岡温泉旅行にのぞんで、ひとつの目論見があったのです。それは「妙高山」を買うこと。残念ながら富山では、「妙高山」を扱っている酒屋はないため、この機会を利用し、妙高酒造を訪ねようと決めたのです。もちろん、どうしても飲みたくなったら通販で・・という手もあるのだけど、根が吝嗇なもんで、送料という余計な金を払うくらいなら、我慢したほうが、精神衛生上いいのです。


今回は千載一遇のチャンス!はやる気持ちを押さえつつ、北陸自動車道上越インターで降り、10分ちょっと走って妙高酒造に着いた。10年前、ここを訪れたときと変わらない風景がそこにありました。

店・・・といっても、引き戸を開けたら奥行き1メートルちょっとの陳列棚に、妙高酒造で作っている酒が並んでいるだけ。目当てはひとつ。妙高山純米の1.8L入り。迷うことなくこいつを一本買わせてもらう。

滞在時間5分ほど。また上越インターに戻り、私たちは月岡温泉に向かったのでした。富山に戻ってきてからすぐに、栓をあけて飲んでみた。「お~~、これこれ!」という感じ。


いろんな意味でありがたい一泊二日でありました。


gonbe5515




# by starforestspring | 2024-03-08 10:37 | 雑感 | Comments(0)

月岡温泉一泊二日

肩の痛みがますますひどくなるので温泉に行ってきた。湯治というものは、長期にわたって逗留し、じっくりやるものであって、一日二日でどうにかなるものではないことくらいわかっているが、なにか理由をつけたほうが、分不相応のチョイ贅沢に言い訳が立つのである。

これまでいろいろな目的で日本海側を北上し、山形県や秋田県、青森県に出かけていった。日本海に沿って細長く伸びる新潟県は、その際に“通過する”だけの県でしかなく、宿泊するのは今回が初めて。目的地は、新発田市にある月岡温泉。

月岡温泉までの所要時間は車で3時間30分ほど。京都までの時間とほぼ同じである。新潟の町を走っていて驚いたのは、越後平野に広がる田んぼの広さと、まっすぐ伸びる道。建物が少ないせいもあるのだろう、その広さと長さは際立って感じる。途中、「北方文化博物館」というところに行ったのだけど、その真ん前から伸びる道は、行き止まりが見えないのだ。本当にもう、びっくりしてしまった。

月岡温泉一泊二日_b0137175_10030460.jpg
月岡温泉一泊二日_b0137175_10030197.jpg
月岡温泉は硫黄の匂いのするいいお湯だった。私の泊まったホテルのスタッフさんたちは、実に気持ちのいい接客をしてくれた。スタッフ一人一人の接客の良し悪しに、ばらつきが出るホテルが多いものだけど、こちらのホテルは皆さん丁寧な言葉遣い、物腰で、文句のつけようがなかった。私たち夫婦に関わりを持たない、ただすれ違うだけのスタッフさんや、大浴場の片づけをしているスタッフさんたちまで、私に笑顔と挨拶を送ってくれる。これがホテルスタッフの本来あるべき姿である。このことが本当に嬉しかった。



日本全国、どこに行っても観るべきものはある。でもそこに“ある”だけでしかない。観る側が何を観るか、何に興味をひかれるか、何に心打たれるかが大切なのだと思う。観る側次第。少なくとも私は、ガイドブック片手に押し寄せる人たちの節操のないふるまい・・・神社仏閣の階段に座りこみ、マックシェイクをすするという罰当たりな行為とか・・・に辟易してしまう“有名観光地”より、「休館日か?」と心配になるほど閑散としている北方文化博物館や、観光客がまばらにしか歩いていない月岡温泉温泉街のほうがいい。白いビニール袋をたくさんぶら下げて、並んでいる魚の品定めをしている人たちが楽しそうに笑っている寺泊の魚の市場通りや、小雨降る中、ぼんやり鴨を眺めている人や、ウォーキングにいそしむ人たちがめいめい好きなように時間を過ごしている、瓢湖水きん公園にいるほうが落ち着ける。

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月岡温泉一泊二日_b0137175_10055688.jpg

ニョーボと二人地図を眺めて「さて・・どこに行こうか?」と、つかみどころのないものを、なんとか形にしたくて頭を悩ませる時間、それが今の私の旅行の楽しみである。



gonbe5515





# by starforestspring | 2024-03-07 10:22 | 雑感 | Comments(0)


川面を見つめて時の流れを知ったタベリストgonbe     よしなしごと残日録


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