2018年 02月 28日 ( 1 )

『寝ずの番』

雪が積もった朝、我が家の犬は雪に鼻をつっこんでクンクン匂いを嗅いでいる。

想像するに、野生のころの名残りで、雪の下に隠れた小動物を探しているのではないか。あるいは他の犬が残していったマーキングの確認か。本人(本犬?)もなぜだかわからず、気がついたらついついやってしまってるというところか。長い年月を経て我が家の愛犬に伝わってきたDNAの不思議。好むと好まざるとに関わらず備わってしまう本能のなせる業に、驚かずにはいられない。

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『寝ずの番』という映画を観た。
ようこんな映画作ったなと。劇場公開されたときの、客席の空気はどんなものだったのだろう。少なくとも、交際を始めたばかりのカップルが間違ってデートでこの映画を観たとしたら、さぞや居心地の悪いことだったろう。

ユーモアを解するには、教養が必要だと言われる。この映画は放送禁止用語が数えきれない回数出てくるけれど、その放送禁止用語の“使われ方”を解する教養を、観る者に求めているような気がしてならない。

Amazonのレビューでは“下ネタ”という言葉が使われている。けれど断じて言っておきたい。これは下ネタではない、艶話なのだと。下ネタと解する人は、下ネタとしか受け止められない程度の教養しかないのだ。「お○そ」「チ○ポ」「○ま○こ」出演者たちが大きな声で連呼するこの言葉に、眉をひそめる人、大笑いする人、ニヤッと笑う人、ポカンとする人。その反応の違いが、その人の教養や経験や性的嗜好の差なのだ。

下ネタというのは、下卑た笑いを伴うものだ。艶話は、違う。明るくあっけらかんとして、笑い飛ばせる話だ。この映画を下ネタのかたまりと受け止める人は、性を隠微なもの、秘めるべきもの、汚らしいものと理解しているに違いない。


落語の大看板、笑満亭橋鶴が病院で最期のときを迎えようとしている。師匠の最後の願いを聞いた一番弟子は、それを叶えるために弟弟子に女房をつれてこさせ・・・。
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師匠の最後の願いがなんだったのか、それを書いてしまうわけにはいかないのが辛いところだ。これから観る人にばらしてしまうと、その人が観たときの大笑いを奪ってしまうことになってしまうので。私は笑った。大笑いさせてもらった。バカバカしくて涙が出そうになった。

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笹野高史、中井貴一、岸部一徳、木下ほうか、田中章たち弟子がとにかく秀逸。その妻たち木村佳乃、土屋久美子、真由子たちのハジケっぷりもお見事。

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自分が死んだあと、この映画のように思い出話を語り合ってもらい、陽気に、楽しく、寝ずの番をしてもらいながら送ってもらえればと思う。そして橋鶴師匠のように笑いながら三途の川を渡っていきたい。

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映画を見終わったあと、もう一度巻き戻して出てきた都々逸や小唄のセリフを書き留めた。こういうのを歌ってサマになる大人でありたいものだ。

男と生まれてご婦人が嫌いなやつはいない。種を残す。それが男の本能なのだから。積もった雪を見れば犬が鼻をつっこむように、男は穴に突っ込まずにはいられないのだ。

「ガキの頃からイロハを習い、ハの字忘れてイロばかり」


・・・・And that's the way it is

gonbe5515




by starforestspring | 2018-02-28 14:14 | 映画・ドラマ | Comments(0)


タベリストgonbe     よしなしごとつづり


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