2010年 03月 14日 ( 1 )

教育の成果

新渡戸稲造氏の著作「武士道」の序にこんな事が書かれている。
新渡戸氏とベルギーの法学家ド・ラブレー氏との会話。
ーーー
私どもの話題が宗教の問題に向いた。
「あなたのお国の学校には宗教教育はない、とおっしゃるのですか」と、
この尊敬すべき教授が質問した。
「ありません」と私が答えるや否や、彼は打ち驚いて突然歩を停め、
「宗教なし!どうして道徳教育を授けるのですか」と、繰返し言ったその声を私は容易に忘れえない。
ーーー

今日、友人がこんなことを言ってきた。
「ときどき、いまどきの若い連中をぶん殴りたくなる時がある」
彼は穏やかで人当たりもよく、誰の声にも耳を傾ける、およそ私とは正反対の性格の持ち主だ。
「マナーというものを全く知らない。前に親戚の娘の披露宴に出席したのだけれど、新郎新婦の友人というのがひどい」
「どういうとこが?」
「招かれた客という意識しかないから、なにをやっても構わないと思ってるようで、それこそやりたいほうだい。酒を飲みすぎて大きな声でどなり合うは、グラスは倒すは、新郎新婦にからむは・・」
「まあ、珍しいことでもないんじゃないの」
「友達だけのあつまりならそれも許されるかもしれないけれど、会社の上司や親戚一同が集まってる場所ですよ」
「確かにそういう人は多いよねえ」
「なにより許せなかったのは」
彼は真顔になり、私の目をまっすぐ見つめてこう言った。
「披露宴が始まる前、両家両親と新郎新婦が会場前に並んで招待客を出迎えるじゃないですか」
彼はほんの少しの間をおいて続けた。
「一礼もせず、お祝いの言葉も述べず、大きな声で笑いあいながらその前を通り過ぎて会場に入っていった。・・・信じられます?」

頭を下げているご両親の前を笑いながら通り過ぎていく若者たち。
そういう時に、どういう風にするべきなのかを彼らは知らないのだろうか。
彼らは教わってこなかったのだろうか。
彼らは葬儀中でもやはり、声高に笑って会場に入るのだろうか。
読経が続いている中を、やはり隣の友人と話をしているのだろうか。

「教育は、30年50年の後に成果が見える。」
私の恩師はそんなことを言っていた。
先生、今の世の中のこの状況は、いつの時代の教育の成果なのでしょうね。



悪いところばかりが目につき、良いところに気がつかない、目がいかない。
「昔はこうだったのに今は・・」とごちるばかり。
トシをとってしまった者に顕著に表れる特徴。

誰か、私に今の若者の“良いところ”を教えてもらえませんか?

でも、
昔もきっとそうだったのだ。
一握りの者たちの行動を見て、「今時の若者は・・」としたり顔でものを言う。
そんな大人はどこにでもいた。
そんな年寄りに反発していたはずの自分が、今同じことをしている。
笑ってしまうのだけど・・・。

でも、やっぱり言わずにはおれない。


“道を間違える”
それは、通り過ぎてしまってからでないと気づかないこと。

引き返すには、来たときと同じだけの時間が必要。
そして、引き返す勇気と覚悟が必要。

   gonbe
by starforestspring | 2010-03-14 23:49 | それでいいのか日本人 | Comments(2)


タベリストgonbe     よしなしごとつづり


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