『あるおっさんの告白』3

学校で、戦争について教わったことがないと昨日書いた。でも、自衛隊という存在がいかにまがまがしいものであるかということは、力説しておられたように思う>先生たち

中学生とはいえ、子どもだし、先生のいうことは全部正しい、基本的に生徒は、あらゆることについて先生から“学ぶ”というスタンスだから、“まがまがしい”だの、“存在してはいけない存在”だのと言われたら、素直にそれを信じてしまう。「存在してはいけない存在が、なくなりもせず存在してるのはなぜだろう?」という、素朴な疑問はあったけれど。

とにかく、当時の自衛隊に対する評価は低かった。存在そのものを否定されていたし、「自衛隊に入る」などと言い出そうものなら、周囲から猛反対されたものだ。

で、世はフォークソングブーム。森山良子やフォーククルセダース、赤い鳥などの歌を、近所のおにいちゃんおねえちゃんたちが公民館で歌っていた時代。そんなときジローズが「戦争を知らない子どもたち」をヒットさせたのだ。この曲は売れた。めちゃくちゃ売れた。どこに言っても、若者たちが口ずさんでいた。長髪ベルボトムのおにいちゃんたちが、ギターをかき鳴らし、声を合わせて♪戦争が終わってぼくらは生まれた 戦争を知らずにぼくらは育った・・と歌うのだ。

終わって、そして知らずに育ったのだから、それを申し訳ないと詫びてるわけではなく、知らないからこそぼくらは平和の歌を歌えるんだ・・という開き直りの歌。私も歌った。何度も歌った。なんの疑いも持たずに大きな声で歌っていた。


今にして思う。私たちがこの歌をなんの疑いもなく当然のように歌ってるとき、戦争から帰ってきた父や、空襲で友人や身内を亡くした人たちはどんな思いで聞いていたのだろう。


映画『東京裁判』を見た時、私はもういっぱしの社会人だったし、この歌ももう町中ではあまり聞かれなくなっていたが、なんていうんだろう、大きな声で歌っていた自分がとても恥ずかしく思ったことを覚えている。以降、ずっとこの歌を歌えない。


父や母、兄妹、妻や子、友人、生まれ育った故郷の山や川、それを懐にだく国。そういうものを守るために、命を散らしていった人たちを敬い、慰めることは、そのおかげで生かしてもらっている私たちが行なってしかるべき行為だと思う。犬死にだった、テロリストだった、洗脳されていた、間違った国策に踊らされていた・・・あなたはそんな言葉を、迷いもなく、心から投げかけて、平気なのですか?


この国をずっと守ってきてくれたご先祖たち、命を散らした方たちのおかげで、日本という独立国が今なお存在し、その恩恵を受けて私たち国民は安穏と生きることが出来ている。それを否定するのもひとつの見識だろうけれど、私はそういう方々とは、あんまりおつきあいをしたくないというのが本音だ。

そして今、この国を外的脅威から守るために、日々訓練に励み、私たちの知らないところで、昼夜を分かたず任務についてくれている自衛隊のみなさんに、心から感謝している。

おかげさまでなにごともなく毎日を送っています。
本当に、ありがとう。




gonbe5515



by starforestspring | 2017-09-25 19:10 | それでいいのか日本人 | Comments(1)
Commented by marrella at 2017-09-26 21:27 x
3本の記事を興味深く読ませて戴きました。

私が小学生だった頃は、学生運動が盛んな時代でした。安田講堂に立て籠もる学生達は大学の自治を守っており、それに対峙する機動隊員は国家権力の手先だと信じていました。安保体制は打倒すべきであり、権力は日本帝国主義だと信じていました。

当然、天皇制は打倒すべきであり、革命によって共産主義を目指すべきだと信じていました。

しかし、自分が大学生になった頃には、学生運動は失速し新左翼の主張は時代の実際と乖離しており、学生運動に身を投じる事もありませんでした。

日本の繁栄と平和には、戦後体制が必要であり、安保がこれを担保している事、天皇制は世界に類を見ない青銅器王朝であり文化としても守っていくべきものである事なども学びました。

自衛隊の必要性も理解できるようになり、自衛権確立のための改憲の必要性も容認できるようになりました。

しかし、靖国神社には日本帝国主義の為に戦った人も祀られており、過去に日帝が東アジアを侵略した事も事実です。

さらに言えば、日帝のアジア、太平洋への侵攻には欧米列強の圧力があった事も事実です。

これらの事を鑑み、自らの政治的立場を表明する事は困難です。カール・シュミットの云う友か敵かの論理に従うと、私は現体制を擁護するしかありません。

現代、東アジアを巡る社会情勢は困難な局面を迎えています。平和的理想論は無力です。かといって、自衛隊核武装論に諸手を挙げて賛成はできません。日本政府には、現実的な舵取りを願う他ありません。


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