『白夜行』ドラマ版1

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第一話、昨日鑑賞させていただきました。(Isさんおまたせ!)

結論から言えば、映画版よりは楽しめそうな予感がします。
いえ、綾瀬さんが主演だからというわけではなく、あれだけの長編を映像化するには、やはりそれなりの時間が必要だと思うのです。原作で表現されているところを出来るだけ多く“映像化”するためというのがひとつ、そして(個人的にはこちらのほうが重要だと思うのだけど)原作で表現されていなかったことを“映像化”するために。
『白夜行』という小説は、(作者ご本人もおっしゃってますが)読者に情報を提供しない作品だったと思います。でも、だからと言って不親切な小説だったかといえば全く逆で。情報が提供されていないくせに、読者はその行間からほぼ同じような情報を予測、補完しそれぞれの頭の中で“同じような画”を描くことが出来た。そこがこの小説のスゴイところなのだと思います。

とはいえ、小説で使った手法をドラマ制作に当てはめても同じように成功するかといえば・・・それは難しいと思うのです。だから時間が必要だと。

テレビというメディアに限って言えば見るという行為は読むという行為に比べて“楽な行為”です。ぽかーんと見てても目を通して脳に情報が入っていく。目を通して入っていった情報をつなぎ合わせればそれがドラマのストーリーなのです。極端に言えば、目に見えたものしか見ない。
読むのはそうはいきませんから。読んで解釈し、理解し、そしてそれを情報として“保管”する。その保管した情報は後から入ってくる情報やすでに保管されている情報とつながり合って頭の中で画像を結ぶようになる。最初に出来た画像があとから入ってきた情報によって違う画像になったりする・・。忙しいのです、頭が。

ドラマ版では原作では“描かれなかった”ことが映像として説明されています。亮司と雪穂の出会いと別れ。それに至るまでのエピソード。主役二人がこれからの長い年月、決して断ち切れない絆を持つに至ったのはなぜなのか。それはやはりビルの中での出来事と、図書館での出来事に加えて川辺で隣同士で語り合うシーンや、手をつないで一緒に歩くシーンを見せておいた方が、目に見えたものしか見ない視聴者にとって第二話以降の展開が理解しやすいものになる。これから展開されるであろう数々のエピソードのむこうがわに見え隠れするものの存在に気づくようになる。

第一話に小説では描かれなかったシーンが多く出てきたのはそのためではないでしょうか。


私は小説を最初に読み、その後映画を、そして今ドラマを見始めています。
小説を読んだときの雪穂の顔は、堀北さんでも綾瀬さんでもなかったですしね。亮司だってそうです。たぶん私だけの雪穂であり亮司だった。
このドラマを見ながら忘れてしまっていることを思い出すために書棚にある『白夜行』を取り出してきてページをめくることがきっとあると思うのですが、間違いなくその時は、雪穂は綾瀬さんに亮司は山田くんの顔をしてそこにいるんだろうと思います。

果たしてそれがいいことなのか悪いことなのか。そのどちらでもないのか。
わたしはいつも悩んでしまうのです。

それにしても・・・デジャブですね。
まんま『世界の中心で、愛をさけぶ』じゃないですか。
オープニングシーンにラストシーンを持ってきたり、エンドロールにざらついた映像のカットを順番に流したり。。
この作品は、オープニングシーンにあれを持ってくるべきじゃなかったと思いますね。いくら“説明”が必要だとしても。最初から見えてしまってたら、これからの“見え隠れ”のドキドキ感が半減しそうな気がするのですが。。

まあ、それは第二話以降のお手並み拝見と致しましょう。

gonbe5515

ただしあのシーンに一つだけ注文を。
「監督、山田くんの苦悶シーン、私はしつこい!と思ってしまいました。もっと早くカット!と言うべきだったのでは?」
by starforestspring | 2013-04-18 22:01 | 白夜行 | Comments(2)
Commented by Is at 2013-04-22 17:46 x
背中を押してしまった手前、楽しんでもらえればと思ったのですが、スタートダッシュでつまずいた様ですね。

よくよく思い返すと、中盤の2、3話をすっ飛ばしているのに気づき、この機会に並走しようかと考えた矢先…
ビデオデッキが不機嫌になっちゃいましたw
gonbeさんのブログで穴埋めさせて頂きます!
Commented by starforestspring at 2013-04-22 23:54
>Isさん

>スタートダッシュでつまずいた
いえいえ、それは誤解です。
映画では描ききれなかった原作の世界をドラマでは見せてくれるのではないかと期待しています。

「世界の中心で愛をさけぶ」に似ているところを見つけたことに多少びっくりしてはいますが、本作の評価は全話見終ったときに表明したいと思っています。

DISCASから明日あたり次のDVDが届く予定。


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