第9週『魔法の木の下で』(再)

えっと・・・・。
タイトルをご覧になって「あれ?gonbeのやつ、またつばさのレビューを書くつもりか?」
と、思われた方もいらっしゃるでしょうが・・・・。


今、かわたべさんが失踪中・・・もとい疾走中ですので、その邪魔になってはいけないと自覚はしてるのですが、今回のは私にとって大発見でしたので、どうしても書きたくなり。。


私、第1週からかじりつくようにこのドラマを観ていたつもりだったのですが、2回目の鑑賞を始めてみて、初回で気づかなかったところとか、ああそうだったのかというところがかなりあることに本当に驚いています。
話には聞いていましたよ、聞いていましたが、これほどとは思いませんでした。


たとえばこの第9週です。
2回目を観た後、私自身のレビューを読み返してみると、いかにこの週の大切な部分を見落としていたかということが分かります。

つばさが読み聞かせのコーナーで読んだ『おはなしの木』
それは千波さんが優花ちゃんのために作り、未完のままだったものに、つばさが続きを考えたものですが、この中に出てくる“ちっぽけな木”は千波さん、“女の子”は優花ちゃん、“旅人”が真瀬さんだったのですね。
気づいてみれば当然と言えば当然のメタファーなのに、今回そこに気づいてつばさの読み聞かせを聞いていると、川原家にいる弁護士以外の人たちの心のうちの解釈が、初回とは全然違うものになったのです。
そして、この話を聞いて優花を真瀬の元に戻す決意をした川原さんの心境の変化も、“たびびとさん”を画用紙の上に描いた優花ちゃんの真瀬に対する心の変化も、この物語のメタファーをもとに聞き直した時、充分な説得力をもつことになったのです。


そしてそして、
私自身の疑問であった、放送直後の加乃子の表情の奥にあるもの。
第9週『魔法の木の下で』(再)_b0137175_16184728.jpg


初回での私は、こう書いています。

『童話を読んでやっていたころのつばさと知秋のことを思い出しているのか、真瀬と優花を残して逝かなければならなかった千波の心情を思っているのか・・・。』

違いましたね。
加乃子はつばさや知秋の子供のころとか、真瀬と優花を残して逝ってしまった千波のこととか、終わってしまった物語を思い出していたのではなく、自分自身とつばさ、知秋の未来について思いを巡らしていたに違いありません。
「物語のつづきはあなたの手の中にあ~る!」なんですよね。

「女の子がにっこりするたびに、お話の花が咲きました」
「女の子が笑ってくれるたびに花を咲かせ続けます。だからこの物語にはおしまいがありません」

真瀬と千波と優花。
加乃子とつばさと知秋。
二組の親子の未来を指し示す大切な大切なお話の回だったのではないでしょうか。



それから、
「あとで・・は終わりってことだよ」っていう優花自身の思い込み。
このことに対しても「おしまいがありません」という言葉でおはなしを締めくくることで、優花に対する回答としています。
「あとで」を禁句としたことにより起こった玉木家でのドタバタも、ここに至るまでの伏線だったのでしょうね。


『つばさ』は繰り返しの鑑賞に耐えるドラマなのではなく、繰り返し鑑賞すべきドラマでした。
一度見ただけでもおもしろい。
だけど一度見ただけでは、分からない。
そういう油断のならないドラマだったのですね。

大枚はたいて買っただけの値打ちはありました。
この週を、こういう風に解釈させてくれた、そのことだけでも買った値打ちはあったと思います。


---------------

最初は上の部分までで、終わるつもりだったのですが・・。

実は私、今回面白いシーンを見つけましてね。
すでにお気づきの方もおられるかもしれませんが、私の記憶ではこのことがネタになっていたことがなかったような気がするので、ここで一応お知らせを。

優花ちゃんが甘玉堂に泊まることになってみんなで優花ちゃんの遊び相手をしているときに、宇津木の頭(かしら)が鈴本さんとロデオマシーンのようなものを持ってきます。
それを見て竹雄さんが、機械に頼らずに遊ばなきゃ・・みたいなことを言って、じゃあってんでお馬さんになって優花ちゃんを乗せるシーン。

第9週52回、ディスクの通算時間54分32秒くらいでしたでしょうか。
宇津木の頭が
「さあ、優花ちゃん、お馬さんだ!乗ってみよ!タケウマ!」って言ったとき、
横にいたつばさが、一瞬の間をおいて笑うんですが、この笑い方が“素”でしたね。
つばさではなく、多部未華子としての笑いでしたね。
スローもしくはコマ送りで見てみてください。
頭の言葉の後、一瞬の間のあと、大きく目を見開いて、大きな口をあけて笑います。
竹雄が馬になるから“タケウマ”っていう頭のアドリブ?のセリフにウケたんでしょう、きっと。
笑った時の視線の先になにがあったのかが気になるんですが、向かい側にいた鈴本さんもやっぱりウケて笑ってましたよ。
ウケたことがわかった頭も実にうれしそうだったし。

じつにおかしい、微笑ましいシーンでした。


gonbe5515
by starforestspring | 2011-10-28 16:27 | 連続テレビ小説『つばさ』 | Comments(4)
Commented by サントラもいいぞ! at 2011-10-28 23:06 x
gonbe様、こんばんは。

こちらのブログを開いたところ、「魔法の木の下で」というタイトルがいきなり目に入ってドキッとしました。

わたしにとって、「魔法の木の下で」という言葉が特別な力を持っていて、目にしただけで胸にグッときます。

「つばさ」というドラマを、「ラジオぽてと」という魔法の木の下で繰り広げられた物語ととらえると、このサブタイルが「つばさ」というタイトルと同じ意味をもった言い替えのように思えるからです。
Commented by starforestspring at 2011-10-29 13:20
>サントラもいいぞ さま
コメントありがとうございます。
いろいろな思いをもっていらっしゃるのですね。お察し致します。

サブタイトルについて言えば私は『家族の周波数』『二十歳の夏の終わりに』『幸せの分岐点』が気に入っています。
もちろんこの『魔法の木の下で』も好きです。
タイトルっていうのは、軽い気持ちでつけるようなものではないので、全26週それぞれのタイトルに込められた制作者の思いや願いや、そういうものも感じながらこのドラマを観ていきたいなあと思っています。

どれかひとつ!って言われたら『幸せの分岐点』かな。。
Commented by hyoutangaiden at 2011-10-30 07:52 x
>二組の親子の未来

 この週の火曜日、加乃子さんがこの姿で真瀬にエールを送るシーンがあります。そのシーンの帰結がこの表情と思いました。
 なんだかんだと真瀬におせっかいを焼く加乃子さんは、真瀬親子に自分をなぞらえて、自身とつばさ・知秋・千代さんの行く末をうらなっている。そんな気がしたものです。

 
Commented by gonbe5515 at 2011-10-30 10:22 x
>hyoutangaidenさん
そうでしたね、たしかにそういうシーンがありました。

>真瀬親子に自分をなぞらえて
加乃子も、つばさも、鏡をみているように真瀬親子を見ていたということでしょうか。
真瀬と優花ちゃんが一緒に暮らせるようになって、階段をひとつ昇ったような安堵感があったかもしれませんね。

深いなあ・・・。
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