人体の不思議

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人間を60年近くやってると、体のあちこちにガタがきてくる。
若い頃から点検を怠らず、おかしなところをみつけたらすぐに対処して、今にいたっても若いころの状態を保っておられる方もおられようが・・・・あいにく私はそれほどマメではなかったので。

その中で最たるものが歯。
本人、じつはこれが意外でしょうがない。
小学生のころから歯の検診は大好きだった。だって自信満々だったし。虫歯なんて一本もなかったし。「歯医者に行ったときのあの“キーン”って音、ホント嫌だよねえ」と友人たちが言い合ってるのも、なんのことだかよくわからなかったし。私が初めて歯医者に行ったのは、20歳のとき。友人の同伴者として出かけた歯医者(初めて入った歯医者さんには興味津々だった)のドクターに「おともだち?せっかくだからみてあげようか?」の言葉に乗せられ診察台に乗ったら「ああ・・親知らずがありますねえ。これは抜かないと」なんて言われてしまい。のちのち大変なことになるからと脅されて、次回診察を予約。そして、次々に抜かれてしまったのだった。あの夜の寝られないほどの痛みは今でも忘れられない。(抜いた親知らずは上下左右の計4本)

今に至って、虫歯はないのに、歯茎がその頑丈すぎる歯を支えられなくなったようで。

そんなワケで、私の口の中は、今やサイボーグ状態。
今日も今日とて治療に出かけ、新しい人工歯の調整をしてきたところ。

そこで思ったのだ。
人間の体って、ほんとうに不思議だ。
生まれて成長するにつれ、体のあちこちの部分が“ちゃんと機能するように”ヌシの知らないところで”勝手に調節してくれてる。歯のことを言えば噛み合わせ。上の歯と下の歯は、いったいどうやってお互いがぴったり合わさったときに、突っつきあったりすることもなく、スカスカな隙間を作ることもなく、食物をすりつぶし、ちぎれるような形に整うだろうか。

足の指、手の指。それぞれに長さとか形状とか、ヌシが「こんな風になれ」と指示したわけでもないのに、物をつかんだり、キーをたたいたりするのに都合のいい形に揃ってくれる。

人間の体ってほんとうに不思議だ。

私という人格が、他の誰とも同じでないこともまたしかり。

みんな違う人格で、同じ人はいない。顔かたちがそっくりでも(一卵性双生児)性格や好みは違うし。#我が家の娘たちは二卵性双生児で、顔かたちはちょっと違うけど、寝相は同じというおもしろいコンビ

体がサイボーグ化していっても、心がそうならなければいい。
人とは違う趣味嗜好を持っていても、人に話せば「え・・そ、そうだったんですか?」という性癖を持っていても、それが私という個体の識別方法。

あと何年この体がもつかわからないけれど、これからはもう少し労った使い方をしていこうと思ってる。気をつけながらね。調子が悪ければムリをしないようにして。こころもからだも、おなじ瞬間に壊れる。そんなのがいいな。

とにもかくにも、ヌシの知らないところでいろいろ頑張ってくれてて本当にありがとう。
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gonbe5515

ツバキ文具店』本日より放送です。





# by starforestspring | 2017-04-14 19:40 | 雑感 | Comments(0)

桜 その不可思議な美しさ

毎朝散歩に出かける時に通るお家の庭に桜の木が一本立っている。
まだ若い木で、なんともいえぬ可愛らしい桜色。
今朝、いつものとおりその家の前を通ると、花が散り始めていた。
てっぺんのほうが緑色。若々しい緑と、なんともいえぬ可愛らしい桜色の対比がうっとりするほど美しくて、先を急ぐ愛犬のリードをきつく絞りながらその場でしばらく見惚れてしまった。


敷島の 大和心を 人問わば 朝日ににおう 山桜花
               本居宣長

ねがはくは花のしたにて春死なんそのきさらぎの望月のころ
               西行

清水へ祇園をよぎる桜月夜今宵会う人みな美しき
               与謝野晶子

桜がらみで好きな歌はこのみっつ。
「そのきさらぎの望月のころ」に、ぴったり逝ってしまわれた西行師もすごいと思うし、祇園から清水への道を歩きながら、晶子さんをして周りにあるものすべてを許せてしまう心持ちにさせたその理由はなんだったのだろうと考えることも楽しい。

桜は、いい。

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毎年出かけている植物園の夜間開放。(さくらまつり)
毎年家族4人で出かけていたが、娘の一人が大阪に行ってしまったため、今年は3人。
なんだか寂しいなあと思っていたら、富山に残った娘がLINEを使って大阪にいる娘に桜を見せていた。「○○、見える?きれいだよ~」「見える~!いいねえ!」スマホを通してやりとりする娘たちの声、映し出される大阪にいる娘の顔。遠く離れているはずなのに家族4人が一緒に桜の木の下で言葉を交わし笑顔を交わし。
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正月の下鴨神社の初詣。春の植物園での桜見物。みたらし祭りの下鴨神社。娘たちが生まれたときからずっと続けてきた家族の恒例行事が、娘たちの成長とともに、消えていってしまうのを覚悟していたけれど、技術の進歩のおかげで、とりあえず今年は形を変えて続けることが出来た。

今年もまた桜を見ることが出来た喜びがひとつ。そして将来、老いた私がベッドから離れられない日が来たとしても、今日のようにLINEを使えば、娘たちによって遠くの桜を見ることが出来るんだという、ちょっとした安心感がひとつ。

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桜。
この花が咲き誇り、そして散っていくのを見るにつけ、日本に生まれてよかったと思う私です。

いろんな意味で。


gonbe5515






# by starforestspring | 2017-04-13 21:57 | 雑感 | Comments(0)

藤沢周平全集 文藝春秋社

『風の果て』を読んだ。
図書館で文藝春秋社発行の藤沢周平氏の全集を見つけ、その中で名前は知ってるけれど、読んだことのない作品が収録されている巻を抜き出して借りてきた。『風の果て』は第二十巻 。『蝉しぐれ』と一緒に収録されている。

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この方の書く文章には、土のにおい、生活、笑顔、哀しみ・・名もなき人達のそういう表情が埋められているように思う。氏の作品に携帯スマホは出てこないし、メールだってない。誰かを家に呼ぶためには、使いを出さなければならないし、メシを炊くには火をおこすところから始めなければならない。便利さと引換に姿を消してしまったものが、氏の作品には残っている。江戸時代が舞台なのだから当然のことなのだけど、今の私にはそういう世界に身を置くことがとても心地いい。


時間はかかるだろうけど、全集の最初から、 一冊ずつ借りてみようかと思ってる。

『風の果て』を読了したあと、『蝉しぐれ』の最初と最後を読んでみた。
最初の部分、ふくが蛇に指をかまれ、気づいた文四郎が血を吸い出してやるときのふくの様子。最後の部分、箕浦で再会したふくと文四郎。その中で

「文四郎さん」
ふいにお福さまは言った。
「せっかくお会い出来たのですから、むかしの話をしましょうか」
「けっこうですな」
「よく文四郎さんにくっついて、熊野神社の夜祭りに連れて行ってもらったことを思い出します。さぞご迷惑だったでしょうね」
「いや、べつに」

の、やりとりから、前にも書いた

「文四郎さんの御子が私の子で、私の子供が文四郎さんの御子であるような道はなかったのでしょうか」

の言葉があり、そしておふくさまの

「これで思い残すことはありません」

から

馬腹を蹴って、助左右衛門は熱い光の中に走り出た。

の最後の一行で小説が締めくくられるまでの一節は、それまでの文四郎、ふくが歩んできた道を知るもの(ここまでこの小説を読み続けてきたもの)にとって、万感胸に迫るものがある、素晴らしいとしかいいようがない場面である。

これまで氏の作品をそれなりの数、読んできたけれど、この『蝉しぐれ』以上に興奮した作品は今のところない。全集を読み終える日がいつか来たとき、その思いが変わらぬのか変わるのか、ささやかな楽しみとなりそうな気がしている。


gonbe5515




# by starforestspring | 2017-04-12 22:40 | | Comments(0)


タベリストgonbe     よしなしごとつづり


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