『半分、青い』は信じていい

父の仕事がなんだったのか、私はよく知らない。私が生まれた頃は、職人さんを何人か使う一国一城の主だったそうだが、もちろん私に記憶はない。やがてその城もくずれ、父は仕事を変わった。そして父の仕事が変わるたび引っ越しをした。小学校は四つ変わった。次また変わるかもしれない。そんな気持ちもあったから、小学生の頃の私はどこか達観した、マセた子供だったように思う。

そんな私だから、マンガや小説などに出てくる“幼なじみ”にとてもあこがれた。そんな私の前に現れた鈴愛と律、菜生にブッチャー。実にほほえましい関係だ。天下のNHKのやることだから、紆余曲折はあるにせよ、最終的には律と鈴愛はくっつき、ハッピーエンドになるのだろう。>それ以外の展開があるとでも?

まだ始まったばかりで、本題はこれからなのだろうから、早とちりはいけないが。ただ言えるのは、このドラマはちゃんとリアルをとらえているということだ。売れない芸人でしかなかった人が、いつのまにか「芸を見る目だけはある」偉い席亭になってた前作とはえらい違いだ。断言してもいい。「ご都合主義とは?」という問題に『わろてんかと答えたら、間違いなく花丸がもらえる。

私が『半分、青い』をリアルととらえるのは、鈴愛と菜生、鈴愛と律の立ち位置だ。菜生と律は常に鈴愛の右側にいる。右の耳しか聞こえない鈴愛。左側に立たれ、話しかけられても、鈴愛には聞こえない。それをわかってるから、律や菜生は、鈴愛の右側に自分の身をおくようにしている。

『半分、青い』は信じていい_b0137175_12161689.jpg

律にしろ、菜生にしろ、それはもう意識してのことではなく、それがあたりまえになっているのだ。彼らは幼いころからずっと一緒で、黙っていても相手がなにを考えているのか察することができる。
『半分、青い』は信じていい_b0137175_12161871.jpg
「鈴愛の左耳はカワイイ」律がそんなことを言うわけがない。きっと誰かの受け売りだ。確信をもって律に詰め寄った鈴愛の判断は、幼なじみなればこそだろう。

おさななじみの彼らが紡ぎだすドラマ。毎朝、これを見るのが楽しみでしかたない。


gonbe5515




# by starforestspring | 2018-04-18 12:28 | 映画・ドラマ | Comments(2)

『半分、青い』高校生編

実にいい。

「助けてください!誰か!誰か!助けてください!」は、『世界の中心で、愛を叫ぶ』のパクリ(or パロディ)ですか?懐かしさのあまり、思わず笑っちゃいましたよ。

モノクロ画面での回想シーン。

葬送行進曲を弾き続ける律、律を心配して窓の下に座りこんでる鈴愛。心配そうな鈴愛の表情のアップ。余計なセリフはなし。これだけで充分、私たちには二人の世界が見えるのです。

いいなあ。

弓道の試合。伊藤さんと律との出会い。二人の間に生まれたなにかを、真ん中の的に当てた矢で表すところがなんともかんとも。

菜生ちゃんが真ん中に当てた!・・と思ったら、隣の的だったというオチも絶妙。

『つばさ』をリアルタイムで見ることができなかったことが私の負い目でした。もしかしたらこの『半分、青い』は、その負い目を癒してくれる作品になるかもしれない。

そんなことを思っています。


gonbe5515





# by starforestspring | 2018-04-17 20:46 | 映画・ドラマ | Comments(2)

『三度目の殺人』『放郷物語』

『三度目の殺人』観るものにいろいろ考えさせる。
そういう意味においては、いい映画だったと思います。
『三度目の殺人』『放郷物語』_b0137175_17142610.jpg
思いますけど、役所さんの演技の力に頼りすぎてはいませんか。

顔を伏せてしばらく待って、頬を伝う涙を出せる。
父と娘の久しぶりの会話の中にそれを見せておき、あとでまた持ってくる。
あざとい。その言葉はこういうふうに使うんですよ、それを教わったような気がします。


『三度目の殺人』『放郷物語』_b0137175_17141922.jpg
徳永えりさんの『放郷物語』
退屈と言えばこれほど退屈な映画はなかった。


でもね、
私が今でもその呪縛から逃れられない黒澤監督の言葉。
「映画になった」
シーンがひとつだけありましたよ。

自転車に後向きに乗る。
その意味するところは・・・・、


表現手段としての映画。

『三度目の殺人』『放郷物語』
このふたつを観て、いろいろ考えたことでした。

監督は主張し、観るものはそれの受け止め方を迷う。なるほど、この繰り返しが、映画を育ててきたんだな。

観るほうも、勉強が必要ですな。
創るほうはさらにまた。


gonbe5515






# by starforestspring | 2018-04-16 17:17 | 映画・ドラマ | Comments(0)

所変われば・・・

4月8日、巨人の大城選手がプロ入り初ホームランを打ったとき、チームメイトが「サイレントトリートメント」をやった。エンゼルスの大谷選手が初ホームランを放ったときのそれを見ていたから真似たのだろう。

誰かが始めたことを、多くの人が真似るようになり、社会に広がっていく。それに不満はないけれど、なんだろう、この妙ないらだちは。・・安直というかなんというか。

はやりものに倣うことに対する抵抗ってのは、ないものか。「おもしろそうだけど、すぐにマネしたと思われるのも癪だから、やらねー!」のような、やせ我慢というか、武士は食わねど高楊枝のほうに、共感してしまう。

ボールゲームと野球が同じでなくてもいいではないか。
7回の裏に、特段イベントをしなくたっていいではないか。

新人が初めてのホームランを打ったときの祝福。祝福される側、する側、ともに笑顔でいられる方法は、トリートメントだけではないはずだ。なんていうかこう、気がついたらやっていた・・とか、なんとなくそういう雰囲気になった結果でいいではないか。

ジェット風船、東京音頭。
やって楽しく、見てなお楽しい。
そんな祝福のしかたが、なにかの拍子に生まれてくるんじゃないか。

それまで、待てば?


・・・・And that's the way it is.

gonbe5515




# by starforestspring | 2018-04-15 19:12 | それでいいのか日本人 | Comments(0)

『半分、青い』


『わろてんか』のあとに登場した『半分、青い』
前作がトホホなものであったので、少々不出来でも許せてしまうのじゃないか・・と考えていたが、とんでもない!

いい!

すごくいい!

『半分、青い』_b0137175_17283859.jpg
ほとんど全てをナレーションもしくはセリフで説明していた。週エピソードの主役として出て来た登場人物は、いつの間にか消えてしまっていた。会社はとてつもなく大きくなってるはずなのに、芸人と事務員たちの面子が全然変わらないままだった。そういう不自然さを映し続けた前作。

沈黙することで、後ろ姿を見せることで、川面に撥ねる石を見せることで、登場人物の心象を表現し、見る者に考え、感じる楽しさを与えてくれる本作。画面の切り替えや、風景の描写などにも、センスを感じるし、なによりセリフが素晴らしい。

「左耳だけ海に行ってまった」

「もう海から帰ってこんか」

こういう表現で、耳鳴りのこと、これからずっと聞こえないのだということを、鈴愛が受け入れたことを表現している。

それと、律や草太、宇太郎さんほか、みんなとてもいい人。ブタの貯金箱を割って、鈴愛にグルグル定規をプレゼントした草太。きっと前から鈴愛がそれを欲しがっているのを知っいたのだろう。宇太郎さんや晴さんから、お姉ちゃんの左耳が聞こえなくなってしまったということを聞き、そうなってしまった姉に対する精一杯の励ましだったにちがいない。貯金箱を割ったことも言わず、あくまでさりげなく渡すところに、草太の優しさが伝わり、なお切ない。

『半分、青い』_b0137175_17283826.jpg
律の隣で、鈴愛が涙を流したシーン。泣きの演技は決して上手じゃなかったけれど、それまで涙を流さなかった理由を明かしたことで、演技の上手い下手ではなく、鈴愛の気持ちが伝わってきて、感情が涙腺を刺激した。


今朝の放送分はまだ見ていないのだけど、話の展開から予想するに、来週からは成長した鈴愛と律が登場するのだろう。途中でコケず、今のすばらしさをこのまま継続してくれることを願う。

今のところ、録画忘れ厳禁レベルのドラマである。

『半分、青い』_b0137175_17283875.jpg

・・・・And that's the way it is.

gonbe5515





# by starforestspring | 2018-04-14 17:38 | 映画・ドラマ | Comments(0)


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