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『ヴィヴィアンマイアーを探して』

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ジョン・ラルーフという青年がいた。
彼は自分の研究に生かすため、シカゴの町並みを映した写真を探していた。
探しているものが見つかるかもしれない・・そんな気持ちで彼は、近所で行われたオークションに参加し、そこでネガの詰まった箱を落札した。380ドルだった。

その箱の中に詰め込まれていたネガをスキャンしてみると、そこに現れたのは・・・。

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私は写真が好き。
人物だったり、風景だったり、動物、魚、昆虫、あるいは星。

動かない写真。

全てとは言わない。それらの中には、見るものに語りかけてくるものがある。
私はその写真が語る話を聞くのが好きなのだ。


太宰治さんが、大勢の人が写ってる写真の、その一人一人の人生について考えると、時が経つのを忘れる、そんな意味のことを書いておられたことを思い出す。

そんな私を最近驚かせてくれた写真家が、横内勝司さんであり、そしてミス・ヴィヴィアン・マイヤーである。



眺めていると、時が経つのを忘れてしまう写真。
そういう写真と出会えた幸運に感謝しなければならない。
お百度参りしたって、丑三つ時にわら人形に五寸釘を打ち込んだって、なかなかそんなことが起こるものではない。

ミス・ヴィヴィアン・マイヤーは、生涯結婚せず、撮影した写真を公開することもなく、一人で亡くなったそうだ。享年83才。この映画は彼女が過ごした時間、場所、行動、言葉などを教えてくれるのだけど、そこに浮き出てくる印象を一言で表すなら

“変人”

これに尽きる。

しかしまた、ここで私は、またしても別の言葉を思い出すのである。
黒澤明監督の言葉。
「よくこの作品のテーマはなんですかときかれるけれど、そんなもの、シャシン(ここでは映画の意)を観ればわかるんだよシャシンを!」

彼女が変人であっても、癇癪持ちであっても、彼女の撮った写真にはドラマがある。雄弁に彼女について語りかけてくれる。
ミス・ヴィヴィアン・マイヤーは、私たちに、素晴らしい写真を残してくれた。
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心からお礼を申し上げる。ありがとう。


gonbe5515




by starforestspring | 2017-02-28 15:00 | 映画・ドラマ | Comments(2)

『 ディアピョンヤン』

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ヤンヨンヒ監督が父、そして母を手持ちビデオで撮影したドキュメンタリー。撮影期間は10年にわたるらしい。映画は自宅(大阪市生野区。区民の20%を越える外国籍の人が住む。その多くが韓国・朝鮮籍)での食事風景から始まる。食卓の向こうに父、手前右側に母が座り、カメラを持ったヤン監督と、日本語、朝鮮語まじりの会話が進んでいく。
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『かぞくのくに』という映画を観て感じた北朝鮮という国のもつ不可思議さ、窮屈さ、そして目に見えない怖さ。それらが少しは形を成してくれないだろうかと思ったのが、この『ディアピョンヤン』を観ることにしたきっかけ。その思いは一部叶えられ、多くはやはり霧の中のままだった。
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朝鮮総連の幹部として、北朝鮮と金日成、金正日に忠誠を誓ったヤン監督の父。その揺るぎない祖国と指導者に対する忠誠は、息子たち3人を帰国事業により祖国に帰すという形で表現される。日本に残ったのは、父と母、そして末娘のヤン監督。海のむこうとこちらで離れて暮らす家族。その家族をつなぐのは、母が息子とその家族たちへと、せっせと送る仕送り品を詰めた山ほどの段ボール箱、そして万景峰号。
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カメラ(娘)にむかって自分の生き方と、家族への気持ちを素朴な言葉で語りかける父親。その言葉は時には笑いと、時には痛切な哀しみを伴って発せられる。


父はたぶん気づいているはずなのだ。自分の手で息子たちを祖国に帰したことが過ちだったと。そして同時に信じているはずなのだ。息子たちを祖国に帰した自分の行為は、決して間違いではなかったことを。
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映画の最初で、自転車に乗って町を走り抜ける父。ステテコ姿で畳の上を笑いながら転がる父。娘と、妻との会話は大阪に住む人らしいおかしみをもって実にほほえましく交されるのだけれど、映画が進むにつれ父は老い、病に倒れ、生死の狭間を行き交う。苦しそうな呼吸、からむ痰の音、途切れ途切れの言葉、そして泣き声。 ビデオカメラに切り取られたアボジ(父親)の姿は、それが素の映像であるがゆえに、私たちの心の奥深いところを突き刺す。


『ディアピョンヤン』は二つの国の姿を映す映画であり、ひとつの家族を映す映画である。と同時に、父、母、そして娘の、すぐれたドキュメンタリーである。



gonbe5515

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次は『愛しきソナ』を観たいのだけど(ソナは北朝鮮に帰国した兄の娘)、DISCASではヒットせず。
チッ!


by starforestspring | 2017-02-26 15:35 | 映画・ドラマ | Comments(0)

『 スリル 赤の章』

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思わぬ拾いものです。
小松菜奈さん、主演のNHKドラマ『スリル~赤の章~』
ご覧になりました?
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「 警察は犯罪を取り締まるプロなのに、実際に犯罪を犯した経験のある人間がひとりもいない。これではまるで一度も野球をやっていない人間がプロ野球の監督になるようなものではないのか。」

ははあ・・言われてみればその通りですわな。

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こういう脱力系のドラマが私は好きなのです。
主人公が庶務課勤務というのもおもしろい。領収書をもとに、地図を広げて行動を推測するとかは、庶務課ならではだと思います。

主演の小松菜奈さんのことはよく存じ上げないのですが、それなりに映画とかドラマにも出てらっしゃるのですね。
このドラマでは、外河刑事に叱られたり、パトランプで遊んだり、変顔があったりと、そこはかとなく、『デカワンコ』を意識した部分も見受けられますが、
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単なるモノマネではなく、小松さんの味わいが出てるところがいいと思います。

特に、研修を受けてる警察官たちの間を踊りながら移動し、彼らからなにがしかをスッていくところ、あれはよかったです。小松さんのこのドラマにおけるキャラクターと、制作側がこのドラマをどんなふうに味つけしていくつもりなのかが垣間見えたシーンだと思います。


小松菜奈さんのセリフまわし、視線の動き、「チッ」という舌打ち。
次回が楽しみなドラマです。
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第二回は、3月1日水曜 夜10:25~ NHK総合にて放映です。


gonbe5515


<第一回 再放送予定>
 3/1 午前1:45~ (火曜深夜) NHK総合
 3/5 午前0:34~ (土曜深夜) BSプレミアム




by starforestspring | 2017-02-25 13:01 | 映画・ドラマ | Comments(0)

プレミアムフライデー

プレミアムといえば、ビールに限ったことだとばかり思っていたんですが、毎月末の最後の金曜日をこれからそう呼ぶことにするんですって?しかも仕事を3時に切り上げて?

プレミアムフライデーを楽しむために仕事を早く切り上げられる人と、そういう人たちを楽しませるために、仕事しなければならない人とに両極化してしまいそうな予感。

2~3時間早く仕事を終わるのを12回より、年末から年始にかけての5日間くらいを、政府主導でいっさいの経済活動を停止するほうが、国民ひとしく休養をとれ、かつ日本古来の風習慣例を伝承するために有効だと思うのですが、いかがでしょう?


ヤマト運輸が従業員の労働環境がこれまで以上に悪化するのを防ぐため、荷受量の制限を検討してるっていうニュースを今朝のテレビで見ました。

これは実現してほしいものですね。自分自身で持って行けるものでさえ、料金の安さと手軽さゆえに、ヤマトさんにお願いすることが多いようですから。

いつだったか、我が社のクロネコ発送便の送り状をなにげに見てみたら、会社から車で2分くらいの住所が書いてあるのにビックリしたものです。そんなのなにかのついでに、会社から営業に出るスタッフに届けるのを頼めば済む話だと思うのです。万一留守だったらもう一度出直さなきゃいけないという面倒さを、ヤマトのドライバーさんに丸投げしてるだけじゃないかと。申し訳ないことです。


110番、119番と一緒で、「ホントにそれ、必要ですか?」と自問する機会にしたいものです。


gonbe5515
by starforestspring | 2017-02-24 17:49 | 雑感 | Comments(0)

ふるさとに思う

私のニョーボは金沢市出身であります。
みなさまよくご存知のとおり、金沢は日本で数多くある“小京都”と呼ばれる町のひとつ。
ニョーボとつきあい始めた時は、京都との共通点も多いんだろうと思ったものですが・・・とんだ幻想でした。

その金沢が生んだ偉大なる詩人、室生犀星氏の作品に 『小景異情』というのがあります。



ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても
帰るところにあるまじや
ひとり都のゆふぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ
そのこころもて
遠きみやこにかへらばや
遠きみやこにかへらばや



遠い都から、ふるさとを思う。
懐かしい場所ではあるけれど、帰るわけにはいかない。
わたしにとってのふるさとは、そういうものなのだ。

室生犀星氏にとっての金沢は、生まれ育った懐かしい土地ではあっても、こころ穏やかに過ごせる場所というわけではなかったようです。

同じく、ふるさとを題材にしてる作品に、中島みゆきさんの『ホームにて』があります。
私個人の意見としては、中島みゆきさんの曲の中で、もっとも心打たれる曲の中のひとつ。この曲を聴いて、ふるさとに思いをはせる人は多いことでしょう。

しかし、必ずしも故郷イコール郷愁というわけではないことは、『小景異情』を読めばわかる。私のようにただひたすら帰りたい場所、終のすみかとしたい場所という人ばかりではないはずです。可愛さ余って憎さ百倍だったり、記憶から消し去ってしまいたい場所であったりする人もきっといる。もっと言えば、ふるさとという言葉自体に実感を持てない人(たとえば生まれてから今までずっと同じところで暮らしてる人)もいるだろうし、物理的に故郷がなくなってしまった人だっている(ダムの底になってしまったとか)。政治的な理由で、その地を踏むことすら出来ない人もいる。

ふるさとは・・・人それぞれ。


『ホームにて』
この曲を聴く人の胸に去来するふるさと。ひとりひとりの中にあるふるさと。
それがどういうものなのか。そこに思いを馳せることが出来る人間でありたい、そう思う。

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『ホームにて』

♪ふるさとへ 向かう最終に
♪乗れる人は 急ぎなさいと
♪やさしい やさしい声の 駅長が
♪街なかに 叫ぶ
♪振り向けば 空色の汽車は
♪いまドアが閉まりかけて
♪灯りともる 窓の中では 帰りびとが笑う
♪走りだせば間に合うだろう
♪かざり荷物をふり捨てて
♪街に 街に挨拶を
♪振り向けばドアは閉まる

♪振り向けば 空色の汽車は
♪いまドアが閉まりかけて
♪灯りともる 窓の中では 帰りびとが笑う
♪ふるさとは 走り続けたホームの果て
♪叩き続けた 窓ガラスの果て
♪そして 手のひらに残るのは
♪白い煙と乗車券
♪涙の数 ため息の数 溜ってゆく空色のキップ
♪ネオンライトでは燃やせない
♪ふるさと行きの乗車券

♪たそがれには 彷徨う街に
♪心は 今夜も ホームにたたずんでいる
♪ネオンライトでは燃やせない
♪ふるさと行きの乗車券
♪ネオンライトでは燃やせない
♪ふるさと行きの乗車券


         作詞作曲 中島みゆきさん


いい曲です。


gonbe5515
by starforestspring | 2017-02-23 20:10 | 音楽 | Comments(2)

『レヴェナント~蘇りし者~』

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始まってから30分くらいまで、3回ストップボタンを押した。とても観てられなくて。忘れてましたよ。かつて私は、まともに血を見ることが出来なくて外科医になるのをあきらめたのでした。

一般的な映画と、画面の見え方が違う。なんだろう、この寒々とした画面、氷点下の気温が伝わってくる画面・・と不思議に思っていたら、これ、自然光だけを使って撮影されたそうです。ライトを使ってない。雪の色や、空気の澄み具合、川の水面なんかが自然に見えるのは、ふだん私たちが見てるのと同じ条件だからなのですね。

あの『ブラックスワン』も、途中で投げ出した私が、とにもかくにも最後まで見続けたのは進歩と言えるでしょう(だからと言って嬉しいわけではない)

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息子を殺された復習を果たすために、死の淵から這い上がり、様々な苦難を経てついにそれを果たす・・というのがおおまかな流れですが、それ自体にあまり感動はなかったです。見所は画面の美しさ。これに尽きるのではないでしょうか。
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映画を観てると、たびたびデジャブに襲われます。
オープニング延々と続く襲撃シーンは『プライベートライアン』『蜘蛛の巣城』
途中、崖にたたずむシルエットは『乱』
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ラストでフィッツジェラルドの死体が流れていくのは『影武者』
まだまだほかにもありそうです。各作品に対するオマージュと捉えてますけど。

私のように、血が苦手な方は、鑑賞にそれなりの覚悟が必要だと思います。
また、この映画を観たあと、肉料理を食べに行くのはおよしになったほうがいいでしょう。


gonbe5515
by starforestspring | 2017-02-22 15:41 | 映画・ドラマ | Comments(0)

わかってくれない

♪あなたの愛した人の名前は
♪あの夏の日とともに忘れたでしょう。

カラオケに言ったとき、私が必ず歌う「わかってください」
この歌はいい。


・・・という話ではなくて。

いろんな人がいろんなところで「○○はわかってくれない」というセリフを言う。
そしてたいてい、そういう人はわかってくれない相手を批判、否定する。
申し訳ないけど、私にはそういうセリフを言う人のほうがわからない。

自分以外の誰が、自分のことをわかるというのか。
自分のなにを、わかってほしいのか。
わかってもらうことに、なんの意味があるのか。
わかってもらってどうしてほしいのか。

私にはわからない。

わかってもらえる。
そこから考えるから“もらえない”ことにガッカリするわけで。
最初からそんなことを期待しなければ、なんの不足もないのに。

わかってもらえないことを理由に、
反抗したり、破壊行動に出たり、危害を加えたり。

自分は一人で。
自分のことを知ってるのは自分だけで。
他人は他人で。
人のことをわかってるつもりでも、実はなんにもわかってなくて。


そういうふうに考えれば楽なのに。



gonbe5515
by starforestspring | 2017-02-21 17:33 | 雑感 | Comments(2)

『 三屋清左衛門残日録』と『蝉しぐれ』

藤沢周平作『 三屋清左衛門残日録』を読み始めた。
1985年から1989年まで、文藝春秋で連載されていたらしい。
読み始めて第六話まで進んだけれど、どうやらこの作品、これからも楽しく読み進めていけそうだ。主人公三屋清左衛門が実に好ましい。自分を投影できるというか・・こんな風に隠居暮らしをしてみたいと思わせる作品。

藤沢周平氏の作品の中で私が一番好きなのは『蝉しぐれ』
主人公牧文四郎の魅力と、その友人たちとの交流がじつに麗しい。
そしてなにより“おふくさま” との悲恋。

「文四郎様のお子が私の子で、私の子が文四郎様のお子である道は、なかったのでしょうか」
おふくのこの言葉に至るまでの道のりを知る読者は、ここでじわっと涙するのです。
このあと、文四郎がなんて言うかは書かないことにします。これから読む人の邪魔はしたくない。
ただこれだけは言える。その言葉を読んだとき、ドバッと涙があふれてくること必定。


これまでにもたびたび書いておりますが、この「蝉しぐれ」は映像作品となっております。ひとつはNHKの連続ドラマ。もうひとつは映画です。連続ドラマでは、文四郎に内野聖陽さん、おふくに水野真紀さん。映画では文四郎に市川染五郎さん、おふくに木村佳乃さん。

私は映画版よりも、ドラマ版のほうが断然好きです。
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映画版の出来が良くないというのではないのです。
ドラマ版の出来が素晴らしすぎるのです。連続ドラマと映画版との尺の差による部分はもちろんあるでしょう。しかし、ドラマ版のふたりのほうが、小説のイメージにぴったりなのです。
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読み終わったあと、清々しい気分で本を閉じたい。
観終わったあと、静かに拍手をしたい。
そんな作品を探しておられる方には、『蝉しぐれ』

文庫なら文春文庫から出ています。
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今でもちゃんとレンタル可能なNHK金曜時代劇『蝉しぐれ』
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私、胸を張って、お勧め出来ると思っています。


gonbe5515
by starforestspring | 2017-02-19 20:20 | | Comments(0)

『かぞくのくに』

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監督=ヤン・ヨンヒ
ソンホ=井浦新
リエ=安藤サクラ
オモニ(母)=宮崎美子
オッパ(父)=津嘉山正種



朝鮮総連の幹部である父の勧めに従い、16歳の時に帰国事業」によって日本から北朝鮮に渡ったソンホが25年ぶりに日本に戻ってきた。脳の腫瘍の治療をするために、3ヶ月間だけの滞在が特別に許可されたのだ。しかし、ソンホの横には滞在中のソンホを監視する任務を受けたヤンという人物も一緒だった。

25年ぶりのソンホを迎える父、母、妹。つかの間の再会を喜びながら、ソンホの治療のための病院に通う。しかし検査の結果、ソンホの腫瘍を摘出する手術には、前後を合わせて半年の期間が必要であることがわかり、病院側から手術を断られてしまう。あきらめられない家族は、ソンホの滞在期間延長の申請、手術をしてくれる医者探しなどを始めるが・・・。
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在日二世を題材にした映画のひとつに『パッチギ』がある。

私が少年時代を過ごした場所(京都市出町柳界隈)で撮影されたことと、同級生に在日二世が大勢いたということもあり、懐かしくかつ興味深く観たものだ。ただ『パッチギ』は在日二世を扱ってるとはいえ、基本的には、恋ありケンカあり友情あり涙ありの、青春ドラマである。

しかし『かぞくのくに』にはそういう浮かれたところがまったくない、救いのない映画である。調べてわかったことだけど、この映画に出てくるソンホは、監督ヤン・ヨンヒの兄がモデルだそうだ。つまりソンホを迎える父・母・妹は、監督ヤン・ヨンヒ とその家族ということになる。どこまでが創作でどこまでが事実かはわからないが、観てる限りでは、ほぼ実話どおりのように思えた。
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笑わないソンホ。
妹に北朝鮮の工作員になるよう持ちかけるソンホ。
ヤンの、執拗な監視。
コーヒーの砂糖にのどを鳴らし、新品のスーツを見つめてたたずむヤン。
ソンホとヤンの行動と言葉と表情の、その向こうに北朝鮮という国での暮らしがほんの少しだけかいま見える。
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涙ながらにソンホを見送った妹リエが、ソンホが気に入ったけれど買えなかった高額なスーツケースを引いて大阪の町を歩く。彼女がこのスーツケースにたくさんの荷物を入れ、いろんなところに出かけていくことが、たぶん二度と日本の土を踏むことのない、ソンホにとっての“唯一の希望” に違いない。
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それぞれの理由で北朝鮮を脱出して、韓国、中国、東南アジア、日本に逃げる脱北者たち。脱出したあとの彼ら彼女らが歩くのは、決して平坦ではない(むしろイバラの)道のようだ。貧困、無職、差別、人身売買・・。危険を冒してでも国境を越えようとする、彼らの背中を押すあの国での生活というものは、どのようなものなのか。多数政党、言論の自由、表現の自由、教育環境の充実、行き届いた治安。そういう国に住む者には、きっと想像できないものなのだろう。


であれば・・・

『ディアピョンヤン』
今度は、この映画を観ることに決めた。


gonbe5515





by starforestspring | 2017-02-18 16:29 | 映画・ドラマ | Comments(0)

『べっぴんさん』の様変わり

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さくらの家出からこっち、『べっぴんさん』がつまらなくなった。
それまでは物語に緊張感というものがあり、テンポもよかったのに。
ヨーソロに関わる人たちは捨てキャラのような気がするし、まさかの復活をとげた栄輔さんは、いつもポケットに手を突っ込んでいて無礼千万、印象最悪だし。

そもそも、さくらが母親を拒絶した理由が、すみれの度重なる約束不履行、娘とのコミュニケーション不足であったにも関わらず、その辺をすみれに指摘をする人は現れず、さくらのほうで母親の働く姿を見て改心し、すみれの所業がなかったことになってるっていうのがなんともかんとも。

だいたい、ヨーソロはジャズ喫茶のはずなのに、お客さんたちがお金を払って自分の時間を過ごしに来てるはずなのに、そこで家族の言い争いとか、痴話げんかとかをやってしまうのはどうなのよ?見合いの席に利用されるに至っては、開いた口がふさがらないですよ。ないでしょ、そんな選択。見合いにジャズ喫茶?ありえない!二郎さんがいたということは、営業時間中ということになりますよね?お客さんきたらどうするの?脚本のいいかげんさに心底腹が立ってくる。

結局、ご都合主義に陥ってますな。
健太郎くん、京都大学にはなくて、東京大学にある学部って、なに?
さくら、健太郎くんが家の人にも言ってない悩みを、自分の家族にばらしていいのか?
正太のことだったら親戚だからって言い訳が通るかもしれないけど、君枝さんちはよそさまだぜ?
健太郎があれだけ悩んでいたことなのに、告白したらあっという間にわかってもらえちゃうし。
あれがさくらだったら、何週ひっぱってただろうか?
合格発表を待つのに、仕事もしないで、幹部社員みんなで電話を待つなんて・・仕事しなくていいのか?ありえないでしょ、ふつうの会社なら。


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喜代さんだけが救いでした。
尾野真千子さんが『カーネーション』の主役を降りたとき、それ以降を見るのをやめたように、喜代さんがいなくなったら、このドラマを見るのをやめようと思っています。


gonbe5515
by starforestspring | 2017-02-17 21:29 | 映画・ドラマ | Comments(0)


タベリストgonbe     よしなしごとつづり


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