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オバマ大統領ヒロシマ訪問4

これまでたびたびこのブログで取り上げてきた映画『東京裁判』
この作品を見て私は、本当に多くの驚きと感動と怒りを覚えたのだけど、心が震えた言葉のひとつに、ブレイクニー弁護人の言葉がある。長くなるけれど、引用させていただく。


 --------------以下引用

「キッド提督の死が真珠湾攻撃による殺人罪になるならば、我々は、広島に原爆を投下した者の名を挙げることができる。投下を計画した参謀長の名も承知している。その国の元首の名前も承知している。彼らは、殺人罪を意識していたか?してはいまい。我々もそう思う。それは彼らの戦闘行為が正義で、敵の行為が不正義だからではなく、戦争自体が犯罪ではないからである。何の罪科でいかなる証拠で戦争による殺人が違法なのか。原爆を投下した者がいる。この投下を計画し、その実行を命じ、これを黙認したものがいる。その者達が裁いているのだ。彼らも殺人者ではないか」

 --------------引用ここまで


日本軍による真珠湾攻撃を、罪として裁くのであれば、連合国軍の東京大空襲やヒロシマナガサキへの原爆投下も裁かれなければならない。それらを裁かないのであれば、真珠湾攻撃も裁かれる謂われはない。


私が、被団協坪井直さんの「 ああいうことを起こしたのは人類」という言葉に感銘をうけたのは、この言葉がブレークニー弁護人の言葉のもうひとつ先にあるように思えたからだ。アメリカだけが悪いんじゃない、日本だけが悪いんじゃない、その道に踏み込んでしまった人類が悪いのだ。


原爆により、多くの非戦闘員が命を落とし、かろうじて生き残った人たちも、放射能を浴びたことによる後遺症で苦しまれたと聞く。現在もなお、その苦しみの中にいらっしゃる方もおられる。
アメリカでは、原爆を落としたことによって、多くのアメリカ兵の命が救われた・・そういう風にとらえている人が多いらしい。原爆を落とさなければ、日本本土での戦いになり、そのことでヒロシマナガサキ以上の非戦闘員が命を落としたはずだ・・という意見もあるらしい。

そういうふうにとらえるのならお好きにどうぞ。お国の事情もあるでしょうし。
しかし、閃光の下で焼け焦げて亡くなった人がいたことを、水を求めて元安川で折り重なるように亡くなった人がいたことを、そういう解釈と並列させて意識していた人がどれほどいるだろうか。

ヒロシマ訪問、原爆資料館見学、記念公園でのスピーチ、“hibakusya”との抱擁。
アメリカ国民にとってオバマ大統領のあの日の行為が、あの閃光の下、今を生きている私たちには知るよしもない、想像も出来ない恐ろしい時間が流れ、そして止まったのだということに思いを寄せる、そのきっかけを作った。

そうであってほしいし、そうでなければいけない。
まして日本国民は。



この地球上で、戦争という、国家による紛争解決の一手段により命を落とした全ての人々に。愛する家族、肉親、恋人、友人、先生・・大切な人を失ってしまった全ての人々に。


追悼を。

そして誓いを。


gonbe5515
by starforestspring | 2016-05-31 20:05 | それでいいのか日本人 | Comments(0)

オバマ大統領ヒロシマ訪問3

こういうことを書きながら私は思ったりするのです。

こんな事書いてると、友人を失ってしまうんじゃないかと。
友人が多いとは言えない私ですが、それでもこのブログをはじめてから、大勢の人たちとコメントをやりとりしたり、ご一緒に舞台を観に行ったりするようになったのです。でもそれはあくまでわたしの生活の一面を共有してくださってのこと。私の思想信条について詳しくお話させていただいたことはないし、同意を頂いたわけではないのです。

そういう友人が、私の書いたのを読んで、こんな人とは思わなかった。今後のおつきあいは遠慮させてもらおう。そう思われるかもしれないのです。それって私にとっては悲しいことなのです。私だって、そのへん波風立てずに、おだやかにおつきあいをさせてもらうほうが、世渡り的にも楽だろうなと思うのです。

でもね、
自分の本心を隠し、信条に反する意見に対してもの言わず、その場を取り繕って微笑みながらやり過ごす・・・そういうのって、自分にも辛いし、お相手にも申し訳ないと思うのです。


あなたの意見に同意はしかねる。でも、思想信条は違っても、ボクらが笑顔で語り合える部分、そこのところで仲良くするのは異存なし。
それはそれ。
これはこれ。
そう、割り切って話をさせてもらえるのなら、これほど嬉しいことはありません。

違ってもめ事を生みやすいもの。
宗教。思想。政治的信条。女性の好み。好きなチーム。
あなたはあなた。わたしはわたし。
そう割り切れる、割り切っておつきあいをしてくださるのなら、これほどありがたいことはない。


先日、ある政党の応援署名というのが、我が社のトップに回ってきました。
我が社が属する企業グループのトップ。創業者であり名誉会長であられるお方が、グループ企業すべてに回せとお下知をされたそうです。
その政党はわたしが同意しかねる政策を声高に唱えており、とてもじゃないですけど、そこに名前を書くのはためらわれましたので、それを持ってきたトップに対して「ここはわたしが支持する政党とは違いますので、お断りしたいです」と訴えました。するとトップ。「そんな堅いこと言わずにカタチだけだから名前を書きなさい。ノルマなんだ。私の立場も考えてくれ。業務命令。選挙の時には好きにすればいい」

わたしみたいに言われて名前を書いた人は何人くらいおられるでしょう。
あくまで拒否した人もいたでしょうか。

そんな薄っぺらな署名リストを見て、名誉会長はご満足なのでしょうか?
聞くところによると名誉会長、その政党の重鎮と個人的に親しくしていらっしゃるとかで、一緒にご飯でも食べてる時に頼まれたのかもしれません。
重鎮、集めてもらった署名の数イコール自分の政党の支持者数と信じていらっしゃるのでしょうか。


わたしは正直でいたい。
自分が信じる思想信条に対して。
「カタチだけだから」と笑いながら応援署名を差し出してきたトップに対し、毅然たる態度でお断りしなかった自分を今心から恥じています。もう二度と“カタチだけ”の署名なんかしません。

現職のアメリカ大統領がヒロシマを訪問した。
原爆を落とした国と、落とされた国のトップが、一緒にその街に立ち、世界へメッセージを発した。
これはやはり歴史的な一歩だと思います。

次は安倍首相の真珠湾訪問が実現することを。
オバマ大統領がそうしたように、安倍首相も過去の日本が行った“国事行為である戦争の一作戦”が行われたその場所で、未来に向けてのメッセージを発してほしい。そう願います。


次回に続きます。


gonbe5515
by starforestspring | 2016-05-30 18:11 | それでいいのか日本人 | Comments(0)

オバマ大統領ヒロシマ訪問2

「原爆は人類の歴史上の不幸な出来事。米国がやったからどうじゃない。ああいうことを起こしたのは人類。だから米国を責めてはいない。それを乗り越えないと。人類には英知があるから」
被団協坪井直さんが、大統領に語った言葉だそうです。

その言葉が出てくるまでのお気持ちを思うと、つくづく頭が下がります。


私はアメリカを憎んでいる。
いや、違う。正確に言えば、アメリカのやったことを絶対わすれてはならないと思ってる。
彼らは非戦闘員を対象に原爆を落とした。
戦車や戦闘機や対空砲に対してではなく、朝起きて、ご飯を食べて、仕事や学校に出かけようとする市民に向けて原爆を落とした。

もし、これがベルリンであったら。
もしこれが、ローマであったら。
彼らはヒロシマ、ナガサキと同じように、原爆を落としただろうか。


・・私はいつもこのことを考えてしまう。


日本が関わってきた戦争。日本が“国として行った行為”は、世界のあちこちで、多くの人の命を奪い、多くの人を苦しめ、多くの人に・・いや、こんな言葉の羅列で表現なんかできないことを、行ってきた。それも、絶対わすれてはならないと思う。子供のころ、「人から受けた仕打ち忘れても、自分がやったことは忘れるな。」こう教えられた。いいことを教わったと思う。

そう、わすれてはならない。
わすれてはいけない。



でも、忘れないことと、それに縛られることとは同じではないと思う。


♪私たちは被害者の子供で加害者の子供なんだね
♪私たちも殺されたけど 私たちも殺したのですね

    「戦争を知らない子供たち’83」より抜粋

オバマ大統領のスピーチを私はLIVEでじっくり聴いた。
翌日の新聞で、英文と和訳とをじっくり読んだ。
大統領のスピーチには希望があった。
未来を。我々が目指すべき道を。
夢物語かもしれない。時間はかかるだろう。それでも目指すことをあきらめるべきではない。
そういう明快なメッセージを感じた。

大統領にヒロシマにきてもらうため、日本政府は合衆国の希望を受け入れると同時に、希望も伝えたそうだ。

曰く、「謝罪はしない」>米国希望
曰く、「原爆資料館を見学してもらいたい」>日本国希望

そんなこんなはいろいろあったとおもうけれど、
大統領のヒロシマ訪問は、原爆を知らない私にも、その意義というものを考えさせてくれた。



某国では大統領のヒロシマ訪問が、日本という国の
「被害者としての面が強調され、加害者としての面が薄れかねない」ことに対して懸念を表しているそうな。


加害者はどこまでも加害者。被害者はどこまでも被害者。
被害者は加害者からどんなことをされてもなんの抵抗も反撃もしませんでした、出来ませんでした。
加害者は被害者に対して非道な行いを続けるだけで、自らはなんの痛みも受けておりません。

そう言いたいのでしょうか?

だとすれば、
♪私たちは被害者の子供で加害者の子供なんだね
♪私たちも殺されたけど 私たちも殺したのですね
と歌う人の心は、鼻で笑われてることになりますね。



では、あなたたちが望むものはなんですか?
安倍首相の土下座ですか?
今上天皇の土下座ですか?

もし、もしですよ、実際にそういう行為をお二方が行ったとして、あなたたちは金輪際過去の“被害”を持ち出したりはしませんか?

ハッ!そんなことはないですよね。絶対ないですよね。

「その程度のことでは、謝罪は充分ではない!」そうおっしゃいますよね、絶対そうですよね?
そうして今度は、土下座した首相や今上天皇の頭を足で踏みつけることを望みますよね。
それも、一人ではない。国民一人一人、全員が順番にそれをして、その姿を撮影してもらって、それを額に入れて自宅に飾って・・・。


そしてまた、こう言うんじゃないですか?
「その程度のことでは、我々が受けてきた痛みと屈辱は癒されない」

そして今度はお二方のその姿を秦檜夫婦のように銅像にして檻に入れ、
道行く人々にツバをはきかけさせますか?

・・・・で、その次はなにを望むんです?
ほら、今慌てて考えたでしょ?
次になにをさせようかって。なにをさせれば自分らがキモチイイかって。


それで終わりますか?
終わりませんよね。
絶対終わりませんよね。


そこがオバマ大統領とあなたたちとの違いです。



あなたたちはなにもしなかったのでしょうか?
日本兵を一人たりとも殺さなかったのでしょうか。
なんの抵抗もせず、なされるがままだったのでしょうか。

ガンジーのように?

そんなことはありませんよね。
あなたたちだって、自分が加害者でもあったということを自覚してらっしゃるはずです。
そのことを認めることはできないのでしょうか?
それを認めてしまうと、お国で暮らせなくなるのでしょうか。
お国の政治体制が維持出来なくなるからでしょうか。


話がそれました。
私が書きたかったことは、アメリカ大統領がヒロシマを訪れたことに対する一市民の感想でした。
某国についての個人的な思いを披瀝するためではありませんでした。

申し訳ありません。
こんなヤツです、すみません。


次回に続きます。


gonbe5515
by starforestspring | 2016-05-29 22:13 | それでいいのか日本人 | Comments(0)

オバマ大統領ヒロシマ訪問1

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私の身内に原爆で命を落としたひとはいないし、放射能の後遺症で苦しんだひともいない。
私は“hibakusya”のなにもわかっていない。それは自覚しています。


そんな私でも、オバマ大統領が広島を訪問したこと、原爆資料館に入ったこと、平和記念公園でスピーチをしたこと。それらについて思うことがいくつかある。

そのことについて、この場(私が使用料を払って使わせてもらってる、私が自由にできるネット上のささやかなスペース)を借りて、思うことを書かせてもらおうと思う。誰に許可をもらう必要もなく、断りをいれる義務もない。

でもことがことだけに、私が書くことにいろいろ思う方がおられるだろう。
自分の思いがなににも勝るものだとまさかうぬぼれてはいないけれど、オバマ大統領が広島を訪れたことについて、こんなことを感じましたというのを、何回かに分けて書いてもバチは当たるまいと思う。



大統領が広島に来るか来ないか。
ケリー国務長官が広島を訪れたあと噂に上ったこの話題が出るたびに、被爆者と大統領との面談が実現するかどうかということが、取りざたされていた。大統領に謝罪を要求するべきだ、いいやそうじゃない、過去は過去、これからのことに目を向けるべきだ等々。
とにかくいろいろな意見がでていたんだ。新聞紙上で、ネットで。


全てを読むのは無理なこと。
時間を作ってさまざまに検索した中で、読むことが出来た意見はなるほどと思うものや言いがかりですなと思うものまでいろいろ。


それらの意見を取りまとめようとする人もいないし、とりまとめること自体難しいと思うし、多数決できめるんですか?おかしいでしょそれって思うし。

そんなこんなで私は、自分が自由に使えるこの場で、自分が思うことを述べさせてもらおうと思ったのです。


自分はこう思う。
そういう意思表示をすることは、大人の権利であり、義務だと思うので。


次回から、書きます。



gonbe5515


すみません、こんなやつなので。
ところで、NHKのライブ中継ご覧になりました?
by starforestspring | 2016-05-28 20:48 | それでいいのか日本人 | Comments(0)

言葉

「ボクは来年65になるんで、定年なんです。いよいよ年金生活ですよ」

「ポケットに青酸カリを入れといて、やばい!と思ったらペロッとなめる。それで家族に迷惑をかけずにすむ。」

「あと何年、あと何日生きられるってわかったら、自殺する人が増えるんじゃないかなあ。」


今日、私と会話をした人たちの言葉を書いてみました。
65歳まで勤められる会社(=65歳の存在が許される会社)とか、
どこから青酸カリを手に入れるんですか?とか、
確かにいつ人生の終わりがくるかわからないからこそ、のんきに今日を生きていられるんだろうなあとか。


いろいろ考えたことでした。


永六輔さんの著作に『大往生』というのがあります。
太宰治さんの著作に『もの思う葦』というのがあります。
芥川龍之介さんの著作に『侏儒の言葉』というのがあります。


最近ちょっと行き詰まってしまってるので、
久々に読んでみようかと思います。


言葉は生きもの。

雲が切れて、青い空がみえるかもしれない。



gonbe5515
by starforestspring | 2016-05-27 21:58 | | Comments(0)

こころは埼玉。

図書館に出かけて本を借りてきました。
やっぱり江戸もの。

うーん、これは現代からの逃避なのだろうか。

『尺には尺を』
今日が初日です。
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蜷川さんが逝ってしまわれたあとの舞台。
出演者の皆さまに、こころ期するところがおありでしょう。

失礼な言い方だと承知で申し上げるのですが、
蜷川さんがご存命な場合と、逝ってしまわれた今とでは、
舞台で演ずる皆さまのおこころのうちは、全然ちがうものになっているのではないでしょうか。
私は、お涙頂戴が好きではありませんし、弔い合戦とか、追善興行とかいう言葉にも一種反感を覚える性質なのですが、今回のこの舞台は・・・。

鬼気迫る。
そんな舞台になるような気がしてなりません。

蜷川さんは死してなお、舞台の演出をなさってる。

そんな舞台を観に行けなかったのは身から出た錆。
それを承知でお願いしたい。
WOWOWさん、この舞台を放送してください。

是非。


gonbe5515
by starforestspring | 2016-05-25 17:20 | 雑感 | Comments(0)

『殿、利息でござる!』2

一晩経つと、映画の内容のたいていのことを忘れてしまいました。
う~む、意外というか、やっぱりというか。

この映画の原作『穀田十三郎』という小説では、穀田屋と菅原屋とが発起して、ひとりひとり仲間を増やしていくのに、かなりの時間を要しています。仲間を増やす、そのこと自体が危険だったからです。ヘタに喋って藩に密告されたら、計画は頓挫、自分たちの命もない。そういう状況ですから、誰に話すか、いつ話すか、どういうふうに話すかに、心を砕いていたことが描かれています。

昨日書いた「殻田屋と菅原屋の葛藤」というのは、このことを指すのですが、映画では、笑っちゃくらいトントン拍子に仲間が増えていく。まあここで時間をかけてしまうと、映画一本分の時間の中で収まらないからはしょりましょ!ってことだとわかってはいるのですが、あまりに順調に仲間が増えていくもんで、ことが成就した時の感動の度合いがそれほどでもなかったですよね。

仲間になるということは、命を賭けること。
そこのところをもう少し掘り下げてほしかったなあというのが、私の思いです。


そんな中、橋本代官を演じた堀部圭亮が実によかった。
穀田屋とか菅原屋とかと違って、この人のことについての記録はまったく残ってないそうなのだが、この人の働きがなければ、藩への貸し付けは実現しなかった。民を思っての行動には心打たれるものがある。

上の文に続けて私は、橋本代官が頑張ってくれてなければ、吉岡宿は寂れる一方だったのだろう・・と書こうとしたのですが、その考えは違いますね。橋本代官だけでなく、事に関わった誰か一人でも欠けていたら、誰か一人でも、違う行動に出ていたら、事は成就せず、彼らは、牢につながれたか、命を取られたかしたのにちがいありません。

誰が欠けても、なにが違っても成らなかったはずのことが、成る。
一人一人が事の成就につながる行動を正しく選択し続けた。

本当に不思議です。
これが奇跡というものでしょうか。


この映画で印象に残ったのは、二人。
松田龍平くんと堀部圭亮さん。
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お見事でした。


gonbe5515

堀部さん演ずる橋本代官の画像を探したのだけど見つからず。
映画でも原作でも、目立たない扱いのようです。
それでも私は、彼のことを忘れません。

竹内結子さんは原作には登場しない、映画だけのオリジナルキャストですが、いい仕事をされたと思います。
by starforestspring | 2016-05-24 21:24 | 映画・ドラマ | Comments(0)

『殿、利息でござる!』


あれは小学校1年か2年のときだったと思う。
道で拾った財布を交番に届けたことがある。
「えらいねえ、よく届けてくれたねえ。ボクの名前と住所を教えてくれるかな?」
交番のおじさんは私の頭をなでながら、やさしい声でこう言った。


ーーーーーーーーー
いま東アジアを席巻しているものは、自他を峻別し、他人と競争する社会経済のあり方である。大陸や半島の人々には、元来、これがあっていたのかもしれない。競争の厳しさとひきかえに「経済成長」をやりたい人々の生き方を否定するつもりはない。彼らにもその権利はある。しかし、わたしには、どこかしら、それに入ってはいけない思いがある。「そこに、ほんとうに、人の幸せがあるのですか」という、立ち止まりが心のなかにあって、どうしても入ってゆけない。この国には、それとはもっとちがった深い哲学がある。しかも無名のふつうの江戸人にその哲学が宿っていた。それがこの国に数々の奇跡をおこした。わたしはこのことを誇りに思っている。この国にとってこわいのは、隣より貧しくなることではない。本当にこわいのは、本来、日本人がもっているこのきちんとした確信が失われることである。・・・中略・・・地球上のどこよりも、落とした財布が戻ってくるこの国。ほんの小さなことのように思えるが、こういうことはGDPの競争よりも、なによりも大切なことでなないかと思う。
ーーーーーーーーー    

   磯田道史著 『無私の日本人』あとがきより抜粋。


いきなり、長文の引用をご容赦いただきたい。

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今日月曜日、私は午前中に『無私の日本人』所収の「殻田十三郎」を読み、それから映画館に向かった。
>殻田十三郎さんをはじめ彼と一緒に千両を集められた人たちがなさったことを考えると、とてもとてもお笑い系の内容になるはずがないのだが。
一昨日の記事で私はこう書いたけれど、その予想通りだった。

殻田十三郎、菅原屋篤平治、浅野屋甚内。
吉岡宿の未来を憂い、救おうとした彼らと、彼らを取り巻く人々の決死の行いは、やはりコメディにはなりえなかった。

予告編やポスターや、HPのトップ画像を作った人に、その意図を問い詰めたい気持ちはあふれるほどにあるのだけれど、やめにしておく。原作者がOKを出したものを、読者であり観客である私がとやかく言う立場にはないので。

それにしても、ここまで私(わたくし)を無にして、公のために尽くそうという人がいたとは。自分にそれが出来るかと・・・とんでもない、私は凡の凡人でございます。とてものことにそのような・・・。


磯田道史氏が連載している新聞のコラムでこの映画を知り、この本を知った。
今日この映画を観たことで私は益々磯田氏に心酔したし、この物語を世に紹介してくれたことに感謝している。C国やK国がどうなろうと、どれほど力を持とうと、この日本という国が日本のままでありつづけてくれることを私は切に願う。落とした財布が交番に届けられ、落とした人と拾った人が、笑顔で語り合える国であることを願う。

『殿、利息でござる!』
マーケティング的にどうなのよと思うことは多々あれど、この映画は観ておいたほうがいいと思う。藩主役で出演していた羽生クンが、踏んじゃいけないはずの敷居を、行きも帰りも踏みまくるという藩主にあるまじき行為をしていたこと。殻田屋と菅原屋の葛藤に時間を割いていなかったこと、等々、どうにもガマンがならんところはございます。それでも!この映画に1700円を出したことに文句はありません。

吉岡宿。
殻田屋酒店。
じかに訪ねてみたいものです。
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gonbe5515

by starforestspring | 2016-05-23 23:07 | 映画・ドラマ | Comments(0)

「どう?帰りにちょっと一杯」

『トットてれび』で、みんなが歌い踊ってた。

♪チョイト一杯のつもりで飲んで
♪ いつの間にやらハシゴ酒
♪ 気がつきゃホームのベンチでゴロ寝
♪ これじゃからだにいいわきゃないよ
♪ 分かっちゃいるけどやめられねぇ

みんな楽しそうだねえ。


「どう?帰りにちょっと一杯」
仕事を終えたサラリーマンが同僚にこんなふうに声をかける。
小説やマンガで、よく見るシーン。マスオさんやショージ君が一番似合いそうなセリフだ。


私が電車やバスを使って通勤してたのは、ルーキーだった最初の一年くらいだけ。
仕事帰りに誰かを飲みに誘うなんてことはほとんどしなかった。あんまりお酒をのむほうではなかったし、お酒の美味しさもまだしらなかったので。
飲みにいくとすれば、「おいgonbe!今夜行くぞ!」と先輩方に誘われて(正確には無理やり引っ張っていかれて)行くことばかり。正直あれは苦痛だった。


毎晩毎晩夜の街に繰り出し、あちこちのスナックでツケをためてた同僚がいた。
彼は給料が入ると袋を握って会社を飛び出し(その頃は銀行振込ではなく現金渡しだったのだ)ツケをためた店を一軒一軒まわり、ツケを精算しつつその夜も飲んで新しいツケを作っていた。


毎日毎日働いて、その対価として得た給料を、スナックにつぎ込むなんて。アホじゃないか。まるっきり無駄遣いじゃないか。酒屋にいったらお酒は売ってる。酒を飲みたいのなら、それを買ってきて家で飲めば安くすむじゃないか。当時の私には、彼のやってることが全然理解出来なかった。


でも私にわからないだけで、彼にとってはとても大切な毎日だったのかもしれない。
彼と会わなくなってから、そう思うようになった。


今私は毎晩家で飲んでいる。
肴も食べず、ストレートでグイグイ飲むのは、いい飲み方とは言えないのだろうけど、私にはそれが一番おいしいのだからしょうがない。飲む量?ボトルが4日か5日で空くくらい。この程度の量で“酒飲み”などとゼッタイ言われないとは思うけど、それでも缶ビール500ml1本でヘロヘロしてた頃に比べると、“飲んでる”自覚はさすがにある。


もし今、あの同僚と再会できたら、少しは彼に付き合うことが出来ると思う。


彼は今、どこで飲んでるのだろう?


gonbe5515
by starforestspring | 2016-05-22 21:03 | お酒の話 | Comments(0)

『無私の日本人』

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実は私、磯田道史氏のファンである。
私の愛読する読売新聞にコラムを連載しておられるのだが、それが実に面白く。
どこそこの町でこんなものが見つかった、よくよく読んでみるとあの大名は・・みたいな。

次の月曜日、映画 『殿、利息でござる!』を観に行く。
氏の著作、『無私の日本人』の中の一編「穀田屋十三郎」が原作となっている映画。
その前準備に今日、氏の本を2冊買ってきた。(どうせ欲しくなるに決まってるので)

『江戸の備忘録』
『無私の日本人』

『殿、利息でござる!』 についての情報をネットでひとつひとつ集めながら思うのは、このタイトルが映画を“お笑い系”に勘違いさせるものになっているような気がしてならないということ。江戸時代、穀田屋十三郎さんをはじめ、彼と一緒に千両を集められた人たちがなさったことを考えると、とてもとてもお笑い系の内容になるはずがないのだが。


そこのところ、しっかり観てこようと思います。




gonbe5515
by starforestspring | 2016-05-21 15:38 | | Comments(0)


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