カテゴリ:本( 204 )

『悪意』

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藤沢周平全集読破計画の合間に東野圭吾氏の『悪意』を読んだ。感心させられました。こういう手があったか!まだお読みでない方もおられるだろうから、あまり詳しく書くのは控えなければ・・。でも、東野さんの発想には参った。アマゾンでの評価は分かれてるが、私は楽しめた。今まで東野作品を結構読んでるが、その中でも上位に入れていい。

それにしても・・・「死人に口なし」っていうのは恐い。
自分が死んで、自分のあずかり知らないことを、自分がやったように思われる。それがいいことであれ、悪いことであれ、死んでしまった自分には、「それは違う!」と弁明することができないのだから。歴史上の人物でも、もしかしたらそういう人がいるかもしれない。悪い奴、ずるい奴、卑怯な奴・・・。実はそれらは全部でっちあげだったってことがあるかもしれない。

そういえば・・・。昔々、学校で習った田沼意次老中は、「賄賂政治」の代名詞として教えられた記憶がある。悪人としての評価。商人たちから賄賂を受け取り、それの多寡で政治を仕切った・・・みたいな。そう信じて疑わなかった。>教育の成果。

その人物像を180度ひっくり返して見せてくれたのがみなもと太郎先生の『風雲児たち』。この作品に登場した田沼意次、意知親子と、そのブレーンたち。蝦夷地開発、諸外国との交易、内需の拡大そのほか、田沼老中がよろうとしていた政策の魅力的なこと!

『風雲児たち』に登場する田沼意次老中は、いい人です。田沼老中を蹴落とし、そのあと老中の座について、田沼政治をことごとく否定した松平定信老中は、“世間知らずのおぼっちゃま”として描かれています。面白いですよ。

『白河の清きに魚も住みかねて もとの濁りの田沼恋しき』
どちらが正しいのか。どちらが悪いのか。物事は一方的に肯定できること、否定出来ることはそれほど多くはない。


・・・なんにせよ、死者を冒涜するようなことはしてはいけない。『死人に口なし』それをいいことに、我が身の保身をはかってはいけない。

ものの見方を改めて気づかせてくれた東野圭吾氏著作『悪意』に感謝。



gonbe5515




by starforestspring | 2017-05-14 20:15 | | Comments(0)

藤沢周平全集 文藝春秋社

『風の果て』を読んだ。
図書館で文藝春秋社発行の藤沢周平氏の全集を見つけ、その中で名前は知ってるけれど、読んだことのない作品が収録されている巻を抜き出して借りてきた。『風の果て』は第二十巻 。『蝉しぐれ』と一緒に収録されている。

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この方の書く文章には、土のにおい、生活、笑顔、哀しみ・・名もなき人達のそういう表情が埋められているように思う。氏の作品に携帯スマホは出てこないし、メールだってない。誰かを家に呼ぶためには、使いを出さなければならないし、メシを炊くには火をおこすところから始めなければならない。便利さと引換に姿を消してしまったものが、氏の作品には残っている。江戸時代が舞台なのだから当然のことなのだけど、今の私にはそういう世界に身を置くことがとても心地いい。


時間はかかるだろうけど、全集の最初から、 一冊ずつ借りてみようかと思ってる。

『風の果て』を読了したあと、『蝉しぐれ』の最初と最後を読んでみた。
最初の部分、ふくが蛇に指をかまれ、気づいた文四郎が血を吸い出してやるときのふくの様子。最後の部分、箕浦で再会したふくと文四郎。その中で

「文四郎さん」
ふいにお福さまは言った。
「せっかくお会い出来たのですから、むかしの話をしましょうか」
「けっこうですな」
「よく文四郎さんにくっついて、熊野神社の夜祭りに連れて行ってもらったことを思い出します。さぞご迷惑だったでしょうね」
「いや、べつに」

の、やりとりから、前にも書いた

「文四郎さんの御子が私の子で、私の子供が文四郎さんの御子であるような道はなかったのでしょうか」

の言葉があり、そしておふくさまの

「これで思い残すことはありません」

から

馬腹を蹴って、助左右衛門は熱い光の中に走り出た。

の最後の一行で小説が締めくくられるまでの一節は、それまでの文四郎、ふくが歩んできた道を知るもの(ここまでこの小説を読み続けてきたもの)にとって、万感胸に迫るものがある、素晴らしいとしかいいようがない場面である。

これまで氏の作品をそれなりの数、読んできたけれど、この『蝉しぐれ』以上に興奮した作品は今のところない。全集を読み終える日がいつか来たとき、その思いが変わらぬのか変わるのか、ささやかな楽しみとなりそうな気がしている。


gonbe5515




by starforestspring | 2017-04-12 22:40 | | Comments(0)

『宣告』  加賀乙彦著

いくつになっても悩みは尽きない。
もうたいがいいいだろうなんて思ってたのだけど、これがなかなかそうはいかない。それが尽きないからこそ頑張れる、頑張る甲斐がある。のかもしれない。

こういう状況では、DVDを見る気が不思議におきない。
1時間半から2時間、ずっとテレビの前に座ってること、それ自体に耐える自信がない。

相撲を見、スポーツニュースを見、ベッドで本を読みつつ寝落ちする・・・これが最近の私のパターン。こんな感じが今の私にちょうどいい。


なにげなく書棚を眺める。
加賀乙彦氏の『宣告』がある。
書棚の一番上の左橋に上下巻二冊が並んでる。
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今この本を読んだら、とてつもなく深いところまで気分が落ちていくこと間違いナシ。順風満帆、イケイケゴーゴーのときにこそ読める本だろう。てっぺんからなら、どんなに落ちていってもドツボまではいかないから。

私がこの本を読んだのは、元気があふれていたときだったと思う。そんな時に読んだからこそ、感銘を受け、今でも大事に手元に置いてるのだろう。この本を手に取ったときの私が、今のような精神状態だったらどうだったか。果たして今のように本棚の一番高いところに置いていただろうか。

いつ、どんな状況で出会うのか。

タイミング。
本、それ自体より、そっちのほうが大切な要素かもしれない。


gonbe5515




by starforestspring | 2017-03-18 21:00 | | Comments(0)

『兄 かぞくのくに』

『かぞくのくに』『ディアピョンヤン』のDVDを観た。
その監督ヤンヨンヒさんの著作『兄 かぞくのくに』を読んだ。

いろいろ思うところあって、長文の記事を書いた。
自分でも納得の記事だった。



なぜだかアップする作業の途中で、それが全部ぶっ飛んだ。
北朝鮮という国について、なにも書いてはいけない・・ということなのだろうか?


今、すごく落ち込んでる。(もういちど同じ文章を一から書き直す気力が残っていない)

『兄 かぞくのくに』ヤンヨンヒ著。
お読みになって損はない、そういう本だということだけ、とりあえず今日はお伝えしておきます。

何度も経験してるのですが、何度経験しても同じことをやっちまいます。


アホですな。


gonbe5515






by starforestspring | 2017-03-14 21:54 | | Comments(0)

『 三屋清左衛門残日録』と『蝉しぐれ』

藤沢周平作『 三屋清左衛門残日録』を読み始めた。
1985年から1989年まで、文藝春秋で連載されていたらしい。
読み始めて第六話まで進んだけれど、どうやらこの作品、これからも楽しく読み進めていけそうだ。主人公三屋清左衛門が実に好ましい。自分を投影できるというか・・こんな風に隠居暮らしをしてみたいと思わせる作品。

藤沢周平氏の作品の中で私が一番好きなのは『蝉しぐれ』
主人公牧文四郎の魅力と、その友人たちとの交流がじつに麗しい。
そしてなにより“おふくさま” との悲恋。

「文四郎様のお子が私の子で、私の子が文四郎様のお子である道は、なかったのでしょうか」
おふくのこの言葉に至るまでの道のりを知る読者は、ここでじわっと涙するのです。
このあと、文四郎がなんて言うかは書かないことにします。これから読む人の邪魔はしたくない。
ただこれだけは言える。その言葉を読んだとき、ドバッと涙があふれてくること必定。


これまでにもたびたび書いておりますが、この「蝉しぐれ」は映像作品となっております。ひとつはNHKの連続ドラマ。もうひとつは映画です。連続ドラマでは、文四郎に内野聖陽さん、おふくに水野真紀さん。映画では文四郎に市川染五郎さん、おふくに木村佳乃さん。

私は映画版よりも、ドラマ版のほうが断然好きです。
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映画版の出来が良くないというのではないのです。
ドラマ版の出来が素晴らしすぎるのです。連続ドラマと映画版との尺の差による部分はもちろんあるでしょう。しかし、ドラマ版のふたりのほうが、小説のイメージにぴったりなのです。
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読み終わったあと、清々しい気分で本を閉じたい。
観終わったあと、静かに拍手をしたい。
そんな作品を探しておられる方には、『蝉しぐれ』

文庫なら文春文庫から出ています。
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今でもちゃんとレンタル可能なNHK金曜時代劇『蝉しぐれ』
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私、胸を張って、お勧め出来ると思っています。


gonbe5515
by starforestspring | 2017-02-19 20:20 | | Comments(0)

『放課後』


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東野圭吾さんの作品は、休日に読むにはまことにお似合い。
時間をかけて楽しんでいいた海坂藩大全上下巻を読み終わったあと、次に手に取ったこれで、夕方からさっきまでの時間、たっぷり楽しませてもらった。

とにかく一気に読ませる。
謎も二重三重にひねってあるし。
そう、そのひねりが、この作品の場合、ほんとうによく出来てると思う。

この作品で江戸川乱歩賞をお獲りになったそうです。

ただ、個人的には最後のシーンはいらなかったなあ。
本筋には全然関係しない人が、全然関係ない事件の幕引きを、なんにも知らないままやってしまう・・というのもひねりかもしれないけれど。

なんか後味が悪くて。

殺人の動機云々をおっしゃる人も多いようですが、動機なんて、人それぞれなわけだし。
逆に、こういう動機で殺してしまうっていうのが、リアルでいいかもしれません。
そもそも、人を殺す気になるって言う時点で、すでに違う世界にいってらっしゃるわけですし。
(小説世界の話をしています)

休日に特に予定がないときに、手に取ってみられるのもいいかと。


gonbe5515
by starforestspring | 2017-02-15 23:41 | | Comments(0)

『卒業  雪月花殺人ゲーム』 東野圭吾

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昨日、東野圭吾氏の『卒業雪月花殺人ゲーム』という本を一気読みした。

この作品では、茶道で行われる「雪月花之式」というのが紹介されていて、これが“殺人の手段” に使われる。この作品で示される殺人の方法には、あたりまえだけれど、それを成立させるためのいろんな伏線が張ってある。最後に明かされる「真相はこうだったのです」に、「な~るほど、そうきたか」と、思わずうなってしまった。作者は読者に好きなように推理をさせておき、そのさらに向こう、そいつをもうひとひねりした先に真相を準備する。そういうところが、私には好感度大。

東野圭吾さんは、実に多作で、私もけっこう読んでる方だと思うけど、それでも全作品読破にはほど遠い。読みやすい文章で書かれてるので、病院の待ち時間とか、手持ちぶさたな休日とかに読むにはもってこい。

私の知人に、東野作品を評して「読み終わったらそれっきり」 「再読することはまずない」という点をマイナスポイントに挙げてた人がいたが、私はそうは思わない。書く人によって作品は違い、作品によって色合いが違う。一生忘れられない、人生の啓示を受けるような作品を書いてくれる人もいれば、駅のホームで次の電車がくるまでの3~4分で読み切れてしまう作品を提供してくれる人もいる。それぞれの作品を、読む人の好みと用途で使い分ければいいだけのことだ。

映画を観るのに比べ、小説を読むという行為は能動的だと思う。
小説の世界の中で考え、悩み、驚き、ため息をつく。長い時間であれ、ほんの少しの時間であれ、ちゃんと対応してくれる作品が世の中にはあふれている。
それらを見つけ出すまでの過程、見つけた作品と一緒に過ごす時間は、映画とは違った楽しさがあるし、違う部分の脳が働いているのがわかる。

休日に自分の部屋で、お茶を飲みながら本と一緒にゆっくり過ごしたい。
テレビの音や、呼出しやおしゃべりの声が飛び交う病院の待合室で気楽に読みたい。
約束の時間より、ほんのちょっと早くついてしまったときの手持ちぶさた感を埋めたい。
部屋を暗くし、手元灯をあて、ベッドに寝そべってちょっとサスペンスな本を読みたい。

本を手に取る状況や気分、環境は人さまざま。当然読む本は変わる。それぞれの用途に合わせて選んだ本を何冊か携帯し、その時々の状況に合わせて引っ張り出して読む。こういう本とのつきあい方を私はお勧めしたい。


gonbe5515


by starforestspring | 2017-02-02 19:41 | | Comments(0)

2月の始まり

今日から2月。

図書館に散歩に出かけた。
分館。昔は“郡”と呼ばれた地域にある小さな図書館。
行政センターの1階。道路を挟んだ向いは小学校。隣にはお年寄り達が集まる建物。

ロビーを抜けたところに図書館の入り口がある。
新聞を読んでるおじいさんたち。
パソコンに向かってる中学生。
三四人で一冊の本をのぞき込んでる小学生。

書架に挟まれた通路をブラブラ歩く。
“あ”から五十音順に並ぶ日本人作家の著作たち。
背表紙のタイトルを目で追いながら、いつものとおり足早に歩く。
出会うべき本は、必ず目にとまる。

『海坂藩大全 上』
今回出会えた本はこれ。
藤沢周平作。初版は2007年。
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「暗殺の年輪」「相模の守は無害」で始まり、「小鶴」で終わる。
途中に「小川の辺」

テレビドラマで観た「蝉しぐれ」は傑作だった。
映像作品になった藤沢作品は多いけれど、これ以上のものはないと今でも思ってる。

まだ知らぬ藤沢作品に触れる機会を得たことを喜んでいる。
この本には、海坂藩で暮らす人々、自然が詰まってるのだろう。

だから図書館への散歩はやめられない。


gonbe5515
by starforestspring | 2017-02-01 13:13 | | Comments(0)

『偉大なるしゅららぼん』

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万城目学さん。
この方の頭の中はどうなってるんだか。叶うことなら広げて陳列していただきたい。
『鴨川ホルモー』
『ホルモー六景』
『プリンセストヨトミ』
『鹿男あをによし』
そして今回読んだのが『偉大なるしゅららぼん』

荒唐無稽。支離滅裂。
『プリンセストヨトミ』のときは、大阪人ならやりかねん・・という感想を書いたけれど、琵琶湖を舞台にしたこいつはさすがに・・・。

風景の描写、状況の説明、本作ではそれが長かったように思う。読んでて途中で混乱したもの。それでも、一気に読んでしまうところが、この方の凄いところ。娯楽小説としては上質ではなかろうか。時間を楽しむということで言えば、映画の場合1700円で2時間。この本だと1700円で一日楽しめる。大阪東京間を新幹線で一気に行くか、急行や各駅停車を乗り継いでのんびり行くか。どちらがいい悪いではなく、状況によって選べばよい。

とくに予定のない休日をすごすには、いい一冊だったと思う。

ただ・・続いて観たDVDのほうは論外だった。
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文字で書かれた世界を2時間の映像で見せるには少々ムリがある。
なにがなんだか・・の世界でしたな。

名作ドラマ(とあえて言わせてもらおう)『鹿男あをによし』も、ドラマだったから表現ができたのであって、映画ならわけがわからんことになってただろう。万城目学さんという小説家の頭の中にある世界を映像として見せるには、連続ドラマのほうこそ向いている。
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淡十郎と涼介の、庶民には想像もつかない城の中での暮らしぶり・・流しそうめんや小樽から読んだ寿司職人、お重三段重ねの弁当や檜造りのお風呂など・・を、じっくり見せてほしかったなあ。


gonbe5515
by starforestspring | 2017-01-18 17:33 | | Comments(0)

東野圭吾さんの小説

最近、東野圭吾さんの作品を立て続けに読んでる。

おもしろい、退屈しない、一気に読める。
読者を楽しませてくれる。読んでる時は、本当に時間の経つのを忘れる。

次のページに、早く!早く!と。

氏の作品は、読んでる時間が楽しく過ぎる。
これはすごいことです。
エンターテイナーであります。

読み終えて翌朝、
「あれ?」であったとしても。

問題ありません。
それは全く、問題ありません。

「楽しい時間をありがとうございます」
ひとこと、お礼を申し上げておく。



gonbe5515
by starforestspring | 2016-12-24 20:30 | | Comments(0)


タベリストgonbe     よしなしごとつづり


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