カテゴリ:映画『あやしい彼女』( 10 )

『あやしい彼女』再び・・最終回

『あやしい彼女』再び・・お読み下さってありがとうございます。
本日をもって、このシリーズはおしまい。


映画はいい。


映画に関わって下さった全てのみなさまに感謝申し上げる。


ありがとう!



私もね、うん、がんばりますよ。


まだまだ人生は長いのだ。
カツみたいに、ハタチに戻れたら・・・・・


とりあえず、旅に出よう。
とりあえず、友だちを大切にしよう。
とりあえず、生きてることに感謝しよう。


gonbe5515
by starforestspring | 2016-04-20 12:04 | 映画『あやしい彼女』 | Comments(9)

『あやしい彼女』再び・・5


昨日、結局『サウンドオブミュージック』を最後まで観ました。
BDの特典映像も。これがまた、内容盛りだくさんで!
近いうちにこの映画について書くつもりです。


で、『あやしい彼女』
この映画を観て、シーンを思い返して、思う事は、やはり多部未華子さんの圧倒的な存在感です。
いやもちろん、タベリストとしてのひいきめはあると思います。ですが、それを差し引いても、やっぱり多部未華子さんの魅力があふれた映画だと言い切っても、どこからも異論は出ないだろうと思います。

多部未華子さんという女優がいる。その女優に監督が役についての説明、演技のリクエストをする。女優多部未華子さんとなった人がその人物に変身し、リクエストに応える。そこにいるのは、多部未華子さんという女優ではなく、女優多部未華子さん。・・・・うーん、上手く表現できませんが、雰囲気だけ掴んでもらえたら幸い。


節子がしゃがむシーンが何回かありましたが、そのとき節子は膝を左右に大きく開いてしゃがんでました。若い女性は普通そういう風に左右に開かないと思うのです。膝をそろえ、どちらかに寄せてしゃがみません?見た目は20歳でも中身はごまかしようもない73歳。しゃがみ方ひとつにも、そういうところを表現している。私はそこに感服したのです。


とにかく、多部未華子さんの笑顔はサイコーです。
クルクル動く目は、ほかの誰にも真似の出来ないもの。
顔全体の筋肉を使って作り出す表情はいったいいくつあるのか。
どんな動きも出来てしまう、身体能力と勘は、訓練のたまもの?天性のもの?

ぶっとんだ演技が出来て、シリアスな演技も出来て、素はシャイなようでいて、実は明るく笑う女性で。歌も歌えてステップも踏めて。

こんなコが彼女だったら、どうします?毎日楽しくって仕方がありませんよね!
いや、逆に誰かに取られたらどうしようって心配か?>そりゃあ自分に自信のない人が言うセリフ。


『デカワンコ』『永遠の0』この2作品に出演してた女優が同一人物だと君知るや?
『君に届け』『ドS刑事』この2作品に出演してた女優が同一人物だと君知るや?
『山田太郎ものがたり』『源氏物語千年の謎』この2作品に出演してた女優が同一人物だと君知るや?
『鹿男あをによし』『浪花少年探偵団』・・・このへんでやめときます。


多部未華子さんは、今日も行くのだ。
「おはようございます」の挨拶のあと、女優多部未華子さんに変身するために。


gonbe5515


多部未華子さんは、やっぱり女優です。
芸能人とかタレントとかではない、まぎれもない女優です。
by starforestspring | 2016-04-19 22:51 | 映画『あやしい彼女』 | Comments(0)

『あやしい彼女』再び・・4

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病院で、娘幸恵(小林聡美)との長回しのシーン。

「ありがとう。ひとりでずっとがんばったね。」幸恵が節子(カツ)に言う。

他の誰かに言うことはあっても、カツが誰かからこういう風に言われることはなかったのではあるまいか。夫を亡くし、病弱な娘を抱えて女手ひとつで生きていく。その苦労は並大抵ではなかったはず。


現在のカツがふりまく毒舌と恩着せがましいもの言いに、周囲の人々がどれほど反感を持っても、カツのことを「戦友みたいなもん」と言う次郎はその苦労を知っている。カツに感謝を忘れない。

「私の休日も終わったのさ」
家族への愛に満ちたこの言葉も、誰に知られることなく消えてしまった。


なかなか深い映画です。

gonbe5515
by starforestspring | 2016-04-16 23:52 | 映画『あやしい彼女』 | Comments(2)

『あやしい彼女』再び・・3

今日、『あやしい彼女』サウンドトラックがAmazonから届きました。
早速聴いたのは「真っ赤な太陽」。続いて「帰り道」
「帰り道」を聴いてるとフェスタのステージで歌ってる彼女の姿が浮かんできます。
あのシーンは、ステキでした。

このCDのおかげで、これから好きな時に 多部未華子さんの歌声を聴けるわけです。ありがたいことです。


次はBDの発売待ちです。
楽しみにしたいと思います。


今回の映画で、多部未華子さんの魅力は目の動き!視線の送り方であることを改めて確認した次第です。タベリスト初心者のころ、私は「コマ送りにみる多部未華子さんの魅力」という記事で、こんなことを書いています。

>ふつうならA→B→C と流れで変化をつけるところを彼女は、
>Aの前にZ、AのあとにA'、Bの前にYとX、BのあとにB'とWを入れてそれからC。

>Z→A→A'→Y→X→B→B'→W→C

>こんな感じでAからCへの変化を表現する人のように思えてなりません。

その目の動き、目の表情に益々彩りが増えたということでしょう。


でもたぶん、彼女はこれを意識してはやってないのでしょうね。
自然に出てくる。73歳のおばあさんが、20歳の体に戻ったらどういうふうに驚くか。
新しい恋を見つけたら、どんなふうに彼氏の前に立つか。
孫の命と自分の若さ、どちらかを選ぶ時、迷わず孫の命を選ぶ決断の早さ意志の強さ。

みんな、目を見てればわかる演技なのです。


「恋はあなたのおそば」で吉本風の舞台を見せていただきました。
「あやしい彼女」でマイクを持って歌い、ステージで躍動する姿を見せていただきました。
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今度は・・サイレントムービーに挑戦していただけないかしら?


gonbe5515
by starforestspring | 2016-04-15 16:53 | 映画『あやしい彼女』 | Comments(2)

『あやしい彼女』再び・・2

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昨日映画館に着いたとき、時計を見ると『あやしい彼女』の上映が終わる10分ほど前で。
頼まれもしないのに、劇場出口を正面に見ることが出来るソファに陣取って、出口調査を行ってみました。

上映終了。扉が開く。中からお客様が出てくる。

1人2人3人・・・。

全部で11人。全員女性でした。
そう言えば昨日は「レディースデイ」女性は1000円で観られる日でした。
1000円で11人ね・・・。

ちなみに、そのあと私が入った回の観客。
私を含めて7人。男2人に女5人。
私が座った席より前に座ってる人は一人もいませんでした。
映画上映中、アルフレードが遺したフィルムを観てるトトのような気分でしたよ。

この映画に関していえば、絶対松竹のマーケティング戦略の失敗だと思います。
松竹、この映画にそれほどの期待をしていなかったのかもしれません。
松竹の重役陣は、完成したこの映画を観たんですかね?
映画に関わる仕事をしていれば、客が呼べる映画、客に喜んでもらえる映画、ガセを打ってでも無理矢理客を呼ばないとモトが取れなくなる映画・・くらいの区別は出来ると思うのですが。

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いくらオリジナルが韓国版で、その焼き直しであるとしても、改変されている部分があり、今も多く生存している(こういう表現を使ってしまうことに私自身笑ってしまうのですが)昭和世代にとって心肝を揺さぶる内容になっており、忍さんの言葉を借りれば“見た人の満足感は高い”ことぐらい読めそうなものです。

私は松竹という会社に対する信頼感がすこしほころびつつあるのを否定できません。

いつかの記事に書いたことですが、出演している俳優女優と関わりのある企業の商品が、映画に出てくるっていうのは常識です。問題はその見せ方で。昔山口百恵さんが主演した映画で、百恵さんが鏡に向かってるときに、どこかのメーカーのシャンプーが画面に大写しになったことがありました。その時映画館中が失笑に包まれたことを、私は覚えています。あまりにもあからさまだと逆に反感を買うのだなと。

『あやしい彼女』にも同様のシーンがありました。
小林さんがスタジオで新人アーティストの歌を聴いてるとき、手にとって口に運んだお菓子。あれはまごうことなき“ハッピーターン” 絶対あれは亀田製菓の差し入れですよね!でも7人の観客から失笑は漏れませんでしたよ。あれくらいひそやかな登場であれば、好感度がアップするってもんです。ハッピーターン、私もすきです。

ちなみにスーパーでお茶を買うとき、私は迷わず伊藤園の“お~いお茶”を買います。多部未華子さんがCMに出てたのですから当然でしょ。

この映画について語るとき、そのセリフの可笑しさをはずすわけにはいきません。
私は韓国のオリジナル版を観ていませんし、これからも観る気はさらさらないのでよくわからないのですが、日本版『あやしい彼女』で交わされる会話、節子のセリフは、どれほどオリジナルをコピーしてるのでしょう?

私的にメチャ受けしたのは。。。
「牛乳は腰に手を当てて飲むもの」>厚化粧シニアが牛乳を飲んでるシーンで節子がつぶやく。
「若いってメンドー」>小林さんをストーカーと勘違いした時の節子のセリフ。
「待ったなしっていうか、急降下っていうか・・」>土手から転げ落ちて小林さんに抱きかかえられたあと、その場を去る時の節子のセリフ。

「牛乳は腰に手を当てて飲むもの」
これには笑いました。たしかにそうです。私が子供の頃通ってた銭湯で、おじさんたちは等しく腰に手を当てて牛乳を飲んでましたよ。子どもはそれを見習いますから、当然その姿勢を取るわけで。「ALWAYS三丁目の夕日」で、堤さんと一郎も、そんなふうにして牛乳を飲んでましたよね!

銭湯で飲むコーヒー牛乳は、特別な味がしたもんです。
フルーツ牛乳も飲みましたよ。あれも銭湯で飲むときは美味しかった。
おもしろいことに服を着てる時にコーヒー牛乳やフルーツ牛乳を飲んだ記憶はあんまりないんですよね。

『ALWAYS三丁目の夕日』
あの映画が昭和世代をタイムマシンに乗せたように、この『あやしい彼女』もまた昭和世代が持っているあの時代の匂いを思い出させるものになっている。平成に生まれた青少年たちがどういうふうに受け止めているのか、私にそれはわからないけれど、あの時代を知っているものにとっては侮恨であり、自己肯定であり、郷愁であり・・・観る人を選ばない、それぞれが持つ昭和の時代をそれぞれに思い起こさせるという意味において、広く受け入れられるものになっているのではないだろうか。


厚化粧シニアの葬儀の際、節子がフルーツ牛乳を置いて帰ったシーン。
多くを語らず。フルーツ牛乳一本で、カツと厚化粧シニアとの関係を映像で見せる。観るものに解釈を委ねる。
いいシーンでした。

返す返すも、松竹、ヘタを打っちまったな!



 
gonbe5515


明日、Amazonからサントラが届く予定。
by starforestspring | 2016-04-14 19:09 | 映画『あやしい彼女』 | Comments(0)

『あやしい彼女』再び・・1

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本日、『あやしい彼女』2度目の鑑賞に行ってまいりました。

私はね、忠心から申し上げたい。

「まだご覧になってない方。行かなきゃ損ですよ!観に行きなさい、今すぐ出かけなさい!」
「仕事?そんなのは後でもできます。『あやしい彼女』の上映はもうすぐ終わってしまうんです。」
「スクリーンでこそ観るべき映画ですよこれは!」


さて、お気づきでしょうか?本日の記事のタイトル。
連番がついてるところにご注目。
もう、書く気満々ですから。
あれも書きたい。これも書きたい。ほんっとにネタはたくさんありますから。
ついでに、この映画についてカテゴリーを設けることにいたしました。
この映画はいい!


この映画のことについて書く記事に興味のない方は、カテゴリー「それでいいのか日本人」とか「連続テレビ小説『つばさ』」とか、「お酒の話」とか、そのあたりを読んでいただいて、「あやしい彼女」の嵐が通り過ぎるまでご辛抱いただきたい。

観ていてたまらなくなり、暗闇の中で自分の名刺の裏にボールペンを走らせていたのは私です。
1回目では気づかなかったけれど、2回目で「おお!そういうことか!」「なるほど!」っていうことがたくさんあったものですから。


その最たるものがこれ。

「絵馬」

覚えておいででしょうか?
ちっちゃい女の子が、カツがいる神社にやってきて、絵馬を奉納して手を合わせていく。
女の子が行ったあと、その女の子が絵馬に書いていったのを読む。そして、奥の方に押しやられていた絵馬を一番前にもってくる。その絵馬に書かれた文字、それが“長生き 瀨山カツ”

“長生き”です。
73歳のカツと“長生き”って書かれた絵馬。
一回目に見たとき、私はその絵馬を、カツ自身が自分の長命を願ったものと思ってしまいました。

違いましたねえ。

絵馬がね、めちゃくちゃ古いんですよ。色が変わってしまってる。
つまり、何十年も前に書かれたものなんです。
73歳のカツが何十年も前に書いた・・・ということは、カツ自身は若いわけです。
若い・・考えてもみてください、20代とか30代の時に、“長生き”を願います?
願いませんよね。若い頃は、自分自身が死に向かってるっていう意識そのものがありませんから。
・・・ということは、この“長生き”は、自分自身のことではない。じゃ誰の?

娘、幸恵のことだったのです!
「大人になるまで生きられない」
医者からそう言われたカツが、娘の病気が治るように、娘が生きながらえるように、それを願って“長生き”と書いた絵馬を奉納した。そして今もまだその恐れから抜け出せないでいるから、奥のほうに追いやられていた絵馬をわざわざ前のほうに、つまりは神様から見えやすいところに移したと。

この一点に気づいただけで、ラスト近くの病院での節子(カツ)と幸恵のシーンが、一回目に観たとき以上に感動できました。



gonbe5515


くりかえしますが、この映画をまだご覧になってないアナタ。
こんなブログを読んでるヒマがあったら、今すぐ映画館にでかけなさい!
by starforestspring | 2016-04-13 20:14 | 映画『あやしい彼女』 | Comments(2)

『あやしい彼女』・・・しつこいですか?

映画の中に出てきたフォーククルセダースの曲、『悲しくてやりきれない』

♪悲しくて悲しくて とてもやりきれない
♪このやるせないもやもやを  誰かに告げようか

フォーククルセダースは、おちゃめな曲も多いですが、しんみりと聞かせるいい曲も多いのです。『戦争は知らない』なんて、何度聞いても泣いてしまいますから。名曲中の名曲です、あれは。

で、この曲、私はよく歌ってました。まさか多部未華子さんに歌ってもらえる日がくるとは、想像のはるか外。

映画で多部未華子さんがこの曲を歌ってる時に思い出したのが『さすらい人の子守歌』

♪旅につかれた 若い二人に
♪さすらい人の 子守唄を
♪星は歌うよ どこへゆくの
♪ふるさとの あの丘に
♪もう帰れない 今はもう帰れない

小学生の頃、毎朝一緒に登校してた友人Yはこの歌が得意でした。
♪ふるさとの  の、裏声になるあたりが彼本当にうまくて。


イマドキの若者に、1960年代から1970年代の曲がどういうふうに受け止められるかわかりませんが、こういう曲があったということを知ってもらえることは悪いことじゃないでしょう。

多部未華子さんに癒されるつもりで出かけたこの映画でしたが、癒されたのは映画で採用された懐かしのメロディーでした。

私にとっての昭和は、やはり宝ものだったということを改めて感じたこの映画でした。


gonbe5515
by starforestspring | 2016-04-09 21:30 | 映画『あやしい彼女』 | Comments(0)

『あやしい彼女』もういっちょ!

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この映画が単なる夢物語に終わってないのは、カツの過去を、ちゃんと過去映像で見せてることではないかと思う。昔のカツを多部未華子さんに演じさせたこともよかった。

若返ったあとの大鳥節子は、カツの若かりし頃と同じ顔をしてるのだから当然と言えば当然のことだけど、コメディタッチで描かれている本作にとって、こういう“真実味”って大事だと思うのだ。
「 ありえねー!いや、でも、もしかしたら・・あるかもしれない」
『プリンセス・トヨトミ』の時にも同じようなことを書いてたけれど、こういう風に思えるか否かが、作品世界に入り込めるかどうかを分けてるんじゃなかろうか。


73歳のまま、体だけ昔の若さを取り戻したカツ。
だけど、やってることは、おばあちゃんのそれ。
でも若かりしころの、しぐさや表情なんかも同時に思い出せている。
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小林さんちでの家飲みの時の座り方、飲み方喋り方。あげくのはてのゲップには笑った。
好きなタイプの男性はと問われて 「シモの世話が出来る人」っていうのも実感こもってたし。
それを聞いた小林さんが吹出すリアクションがすごくリアルだったけど、そのあといい雰囲気になって、目を閉じるところなんか、若かりしころのしぐさですよね。

老いと若さ。
この二つを同時に演じ分けた多部未華子さんはやっぱり教祖さまです。

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次郎さんの気持ちもね。
最初カツさんが次郎さんにリンゴを渡すシーンはなんにも思わなかったけど、食べるものがないときに、カツさんが盗んできたリンゴを次郎さんに差し出してるシーンを見せられたとき、初めて納得できました。ああそういうことなのねと。

翼が担ぎ込まれた病院で、翼に輸血しようとするカツを次郎さんが止めます。あれなんかいろんなこと考えてしまいましたね。次郎さんは73才のカツさんが好きなはずなのに、あえて20歳のままでいさせようとする。カツの苦労を知ってて、好きだからこそカツに違う人生を歩ませてやりたいという・・・なんていうか、泣けますよね。次郎さん、あんたはオトコだ!


映画が終わって映画館を出てから心に浮かんだ疑問。
翼に輸血をして節子はカツに戻ったわけだけど、
その変化は、輸血してる時のベッドの上で進行していったのだろうか?
だとすると、病院の人、驚いたろうなあ。研究素材として、呼び止められたりしなかったんだろうか?

まあ、そこんとこは、スルーしていいですかね?

とにかく楽しかったです。
次郎さんの罠にかかったところとか、おなかが痛いといいながら、少しずつ坂を下りていくところとか。たまりませんでしたね。ありがとう。

も一回、観に行くつもりです。


gonbe5515

おまけ。
エンドロールを退屈にしないための工夫には感心した。
by starforestspring | 2016-04-08 23:38 | 映画『あやしい彼女』 | Comments(0)

『あやしい彼女』つづき

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想像してみた。
57歳の私が20歳に戻ったら・・。

これまで経験してきたあんなことやこんなことを知っている私が、表向き20歳。
20歳の息子、娘を持つ親たちが、実年齢57歳の自分より年下か、同世代ということになる。だとしたら、そういう人たちに対してどういう喋り方をするか・・・まさか敬語は使うまい。見た目は変わっても、中身は57歳のままなんだから。

そんな想像をしてみたとき、大鳥節子というキャラクターの面白みに近づけたような気がする。
外見にだまされてはいけない。中身はおばあちゃんなのだ。
ギターを弾いてる翼は孫だし、小林さんも似たようなもの。
節子さんの彼らに対する口のきき方、彼女にとってみれば自然でも、聞いてるほうからすれば、見た目とのギャップは実に大きい。作品の中の彼らはそれを知らないけれど、観客である私たちはそれを知っている。だからこそ、路上ライブのあとのファミレスでのメンバーとのやりとりなんかがとてつもなく可笑しい。
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違う意味でのギャップを表現したのが、スーパーで子供に手をあげた母親とその子供への語りかけ。節子にすれば、あの母親は自分の娘よりさらに下の世代。自分が経験してきた子育てを、いま必死になってやっている。

娘を育てていた時に経験したことを、この母親はこれから経験することになる。それがわかっているからこそ、「子供に手をあげるなんて、ひどい母親だ」と決めつけないし、赤ちゃんにかかりっきりの母親を取り戻すために、わがままを言ってしまうお兄ちゃんの気持ちがわかる。

だからこそ、ああいう言葉になる。


私事で申し訳ないのですが、私の娘たちは双子です。双子を育てるというのは、なかなか大変なのです。双子だからこその苦労がけっこうあるものなのです。

ところがまわりはそんなこと知らないから、ツインバギーに乗せた娘たちを見て近寄って来て「カワイイ~!二人いっぺんに大きくなってくれていいよね」とか、「私も双子が欲しかったあ!」などと、ほざく。夜中のダブル授乳や、時間差攻撃。歩けるようになったらなったで、右と左にチョコマカ歩いていくしね。体はひとつなのに、追いかける方向は二つ。一人を視界にとらえれば、もう一人は視界から消えてしまう。これがけっこう恐怖。双子というのは、運動能力も同じだし、どちらか一人が聞きわけてくれるということもないし、一応姉と妹だけど、本人たちそういう自覚はさらさらないし。

あの人たちはそういうことを一切知らず、見た目だけのことを言ってこっちの神経を逆なでする。

「それはそれは。よろしかったら二日か三日、育ててごらんになります?」と差し出したら、どんな顔をしただろう?

たまに、ごくたまに、「二人一緒に育てるのは大変よね。でもがんばってね、笑って思い出せる時が必ず来るから」って言ってくれる人がいた。そういう人はほぼ間違いなく、自分の子供かごく近い身内に双子か三つ子がいて、多胎児の育児がどういうものか知っている人なのね。

あの言葉は、本当にうれしかった。ほとんど何もしていない私でさえそうなんだから、一日中娘たちと一緒にいたニョーボは、そう言われて心で泣いていたと思うし、同時にその言葉で救われたに違いない。


だから、あのスーパーでのシーンは、心にしみた。
いいシーンでした。

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gonbe5515


おかげさまで今は、あのころのことを笑って思い出せます。
あれはあれで、おもしろかったよね・・と。
時たま「もう一度あの頃に戻ってくれないかなあ?」なんて思ったりもする。
by starforestspring | 2016-04-07 20:36 | 映画『あやしい彼女』 | Comments(2)

『あやしい彼女』

素晴らしかった!

実に素晴らしかった!

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なにがよかったと言って、
20歳になったカツさんがちゃんと73歳に見えたとこ。
これは多部未華子さんの演技力によるところでしょうけど、それにしたって私は20歳の節子さんをずっとおばあちゃんとして認識してましたよ。


バイクのひったくりにあって、犯人に追いつき・・追いつく事じたい「ありえねー!」だとしても・・説教を垂れるとこ。次郎さんに近づくみどりさんに対抗心を燃やして、ステージに上がるまで。小林さんとの部屋飲み。

とにかくすごいことですよ。73歳のおばあちゃんをメイクなしで演じてさまになる若い女優さん。さあ、あなたは何人名前を言える?


信者として、教祖様の偉大さは重々承知しておったつもりです。が、教祖様は私なんぞが勝手に作り上げたイメージの、遥か高みにいらっしゃる。いつまでたっても追いつけそうにありません。本当に感服いたしました。
であればこその、教祖さまでいらっしゃいます。
今日もまた、信者であることの喜びと幸せをひしひしと感じたのでございます。



舞台で歌ってる多部未華子さんは拝見しております。その声の素晴らしさも知っております。それでも、あの“悲しくてやりきれない”には、泣かされました。
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歌ってる姿と若かりし頃のカツさんの姿を交互に見せる編集の効果とも言えるでしょうが、それにしたってそれだけで観客を泣かせることはできません。

ハリソン君も書いてらっしゃいましたが
、“苦労した73年間の重み”があればこそ、聴くもののハートに響いてくるんです。それは73歳が20歳になったという設定を、無理なく観客に受け入れさせることが出来た多部未華子さんの演技があればこそでしょう。いくら編集で見せられても、観る側が歌ってる本人を73歳として認識出来なければただあざといだけですよ。

節子さんが翼に誘われてバンドを見に行ったとき、彼らの音楽に耳をふさぎます。
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「こんなの音楽じゃない。騒音だ!」というセリフに我が意を得たりでしたが、そのあとの「泣きたかったり辛かったりしても、聴くだけで立ち上がれてしまう・・・そういうのが歌」>うろ覚え というセリフには、激しく同意しました。


我々の世代より上、先輩や親の世代は、貧しいのがデフォルト。苦労があたりまえ。
今日食べるものの心配、明日着るものの心配をしながら、毎日を生きてきた。
そうであればこそ、“リンゴの歌”や“青い山脈”や“憧れのハワイ航路”なんかに夢を載せてきたのではないでしょうか。

“悲しくてやりきれない”、は、私が小学生だったころ、昭和40年代の歌です。
「もはや戦後ではない」と言われて10年以上経っており、暮らしが豊かになっていく実感はありましたが、少なくなったとはいえ、鼻たれ小僧やランニングに短パンで走り回る子はいましたし、現代のように、みんながスマホを持っている、みんなが大型カラーテレビを持っている、家に帰れば自分ちのお風呂に入れるっていうわけではなかったはずです。

なにかに耐えること、辛くても歯を食いしばること、そして明るい未来を夢見ること。
そうやってみんなが暮らしていたのだと思います。

そんなときに聞いた歌を、くちずさんだ歌を、時代が変わったからといって忘れることなんかできません。

今どきのコが充分楽しめる娯楽作品になっていると同時に、戦後を生き抜いてきたカツさん世代にも是非観ていただきたい映画です。
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gonbe5515



多部未華子さんのすばらしさを教えてくださった先輩諸氏、ご同輩に心からの感謝を申し上げる。
「ありがとう。」
by starforestspring | 2016-04-06 19:34 | 映画『あやしい彼女』 | Comments(0)


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