カテゴリ:映画・ドラマ( 474 )

『ブルース・ブラザース』

私はこれまで、いろんな恥ずかしいことをしてきたと思うし、実際今でも思い出すたび「キャッ!」と叫んで穴に飛び込みたくなることを数え切れないほどやってきた。最近はそういうことも少なくなり「トシをとるのも悪くない」などと、安心していたのだが・・・。

お恥ずかしい。
実にお恥ずかしい。
これを観ていなくて「私、映画が好きでしてね、ハハハ。。」なんて、よく言ってきたものだ。どっかに穴はないかしら?ないなら自分で掘ろうかしら。

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『ブルース・ブラザーズ』

ヤンチャで、善人とは言えない大人に育った兄弟、ジェイクとエルウッドが、昔世話になった孤児院の窮地を知る。二人は教会で神の啓示を受け、あるアイデアを思いつく。そう、これは神から与えられた使命。二人は神の使いとして、昔やっていたバンドを再結成し、金を稼いで孤児院を救おうと動き出す。


この映画が面白いってことは、知ってはいたのです。実際、レンタル店で借りてきたこともあるのです。・・・いやいや、言い訳はやめましょう。とにかく最後まで一気に観たのは今回が初めて。ご覧になってる方も多いと思うので、なにを今さら・・でしょうけど、あれですね、こんな映画、今ではゼッタイ作れませんね。カーチェイス、ライフル、ぶちこわされるショッピングモール。現代ではCGで撮影されるようなことが、この映画では実写でやられてる。それを観るだけで、最近の映画に慣れてしまった私には爽快でした。本当に、ようこんな映画作った!

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いろいろあって(このいろいろがおかしくてたまらない)無事二人は孤児院を救うことが出来る。が、もちろんハチャメチャやってきた二人は刑務所に直行。そして二人はそこでも・・・。このラストがまたいい。

観終わったあとの気分が実に清々しいです。映画館で観たとしたら、出口に向かう足取りは軽いでしょう。そのあとに飲むコーヒーも美味しいに違いない。

レイ・チャールズ、アネサ・フランクリン、ジェームズ・ブラウン、キャリー・フィッシャー、ツイギー。そしてまさかのスティーブン・スピルバーグ。ゲスト出演するってことを知らなかったので、画面に出てきたときは驚きました。しかもそれが次々にご登場なのだからもう、すごいです。こういう映画をみんなが作りたかったんでしょうきっと。

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お茶目でおかしくて、楽しい映画でした。
いやあ、BSには感謝しなくちゃ。


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ラスト近く、それまで二人のハチャメチャに従順につきあってきた白黒ダッジが、力尽きて “分解” してしまう。その姿を一瞬見つめるエルウッドのシーンには泣いた。

最後に出てくる“撮影クルー”の写真に、トドメの笑い。
そうそう、そんな時代でしたよね、1980年。





by starforestspring | 2017-04-19 19:44 | 映画・ドラマ | Comments(0)

『ツバキ文具店』

単発の時はよかったのに、連続ドラマになってなんだかなあになってしまった『視覚探偵日暮旅人』。出演してらっしゃった多部未華子さんがお気の毒なような気分になってしまって、「仕事をもう少し選んではくれないか?」と事務所に言いたかった私ですが・・・「ヒラタオフィス、やれば出来るじゃないか!」

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金曜日夜10時放送の『ツバキ文具店』
静かなたたずまい、ゆっくり流れる時間。味わいのあるいいドラマになりそうな予感がします。『あやしい彼女』で現場が一緒だった倍賞美津子さん、あの『つばさ』の女社長、富士真奈美さんとのご共演は、タベリストにとって嬉しいサプライズでした。まして、多部未華子さんのセーラー服姿や、ヤンキーファッションがまた見られるとは、想像もしてませんでしたよ。

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『べっぴんさん』が破綻してしまうきっかけ作りに利用されてしまった>個人的見解 江波杏子さんまでご出演です。字幕によると彼女の役名は“バーバラ婦人”なのですが、“バーバラ夫人”の間違いじゃないかなあ。

代々続く手紙の代書屋。そんな仕事が今もあるのか?と思うのですが、鎌倉という町と、おばあさま(倍賞美津子さん)の存在と、鳩子が受けてきた教育(訓練)とが、それを納得させてしまうから不思議だ。


文章を扱う仕事。文章に関わる仕事。リタイアしたら、そんな仕事に就きたいと思っている私がイメージしていたのが、まさにこの代書屋。だけど、墨をするところから始めるなんて考えもしなかった。慶事と弔事で墨をする方向が逆になるなんて・・・聞いたことなかった。勉強になるなあ。

原作者の小川糸さんの作品を今ちょうど読んでるところです。(ツバキ文具店ではない)ツバキ文具店もたぶん読むことになると思いますが、ドラマはドラマとして、楽しませていただこうと思う。これからどんな仕事が舞い込んでくるのか、悩みながら後を継ぐことを決めた鳩子が、どんな手紙を書くのか。興味津々です。

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金曜日が楽しみ。


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by starforestspring | 2017-04-15 12:40 | 映画・ドラマ | Comments(0)

『ひよっこ』

前作の反省に立ち、あんまりのめりこみすぎないように毎朝テレビの前に座る私です。

本日はドンガバチョ!
♪泣くのはいやだ、笑っちゃおすすめー !

この「すすめー !」の部分、大きな声で叫んでましたよ、私は。


前作は、最初はよかったけど、途中から見るに堪えない展開になってしまいました。
2週目に入った『ひよっこ』、これからどうなるのか、楽しみにしています。

この作品のために6kgも太った有村さんに敬意を表します。
こんなにやせてしまったのか・・という木村さんに驚きを禁じえません。
セクスィー部長もよかったけど、実さんも、なかなかいいよね?の沢村さん。
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ちよ子役の宮原和さんはもしかしたら将来大化けするのではないかと思います。

なんというか、今のところ、毎朝楽しみな番組です。
どうかこのまま続いてほしい!


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by starforestspring | 2017-04-10 21:31 | 映画・ドラマ | Comments(0)

『ひよっこ』第一回!

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今日から新しい朝の連続テレビ小説が始まりました。
前回の『べっぴんさん』、前半はすごくよかったのに、後半、さくらが家出をしてヨーソロに入り浸るようになったあたりから、女性四人で立ち上げた会社のお話から、家族のドロドロ話になってしまい、しかもそれがホントーに(!)どうでもいいようなばかばかしさだったもんで、途中で放り出したのでした。

麻田さんが出てるころはいいドラマだったのに。。。

で、新しく始まる『ひよっこ』に、懲りもせず期待しながら今朝、テレビの前に座ったのでした。朝ドラの第一回っていつもこんな感じ(出演者の紹介、やたら明るいヒロインの朝のあいさつ、恋の予感に、母の愛)だなあと思いながら見終わったのです。

私は小さな声でこそっと申し上げたいのは、本編より、オープニングタイトルです。
いやあ、感嘆しました。あれはすごいよ。あの発想はなかった。しかもちゃんと無理なく成立してる。畳の畑、畳のへりの畦道、三角おにぎりの山、タイプライターの観客席、ビール瓶の東京タワー。実におもしろい!あれは・・・シーンごとに一時停止して、じっくり検証する値打ちのある映像ですよ。

沢村さんのお父さんが靴を値切ってるシーンが終わったあと、もう一度最初に戻って早送りし、オープニングタイトルを見直したのは私です。


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迷作『トランジットガールズ』にご出演だった佐久間由依さんが、ヒロインの友だち役でご出演。この方を見る楽しみも出来ました。

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by starforestspring | 2017-04-03 16:43 | 映画・ドラマ | Comments(0)

第89回アカデミー賞授賞式

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予定どおり、録画していたアカデミー賞授賞式を観た。
毎回思うことですが、アメリカの人っていうのは、ショーアップということに関して、本当にお上手です。トークの合間にジョークをはさむことも自然になさる。そういうところのDNAは、大阪人が会話をすると自然に漫才になるっていうのに通じるものがあると思います。

それにしても、今回の授賞式、妙に軽かったですね。アカデミー賞の伝統というか、威厳というか、格式というか、そういうのに欠けるように感じました。たぶん途中で歌が入ったり、みんなで踊ってるところが映ったり、キャンディが降ってきて騒いだりしてたせいだと思います。私としてはもっと緊張感に満ち満ちあふれた授賞式というものを見たいと思っているのですが。

それと政治的な発言。大統領に対する皮肉とかあてこすりとかも目立ちました。映画芸術科学アカデミー自身が、または受賞者たちが、そういう主張をすることに異論はありません。ありませんが、それも過ぎるとうるさくなる。あそこに集まっている人みんなが反トランプではないはずですから、そこらへんを考慮してあくまでジョークの域を超えないようにしていたと思うのですが、そのもくろみも一部ほころんでしまってて。。



それにしてもです。
『ラ・ラ・ランド』のスタッフが作品賞で名前を呼ばれて歓喜してステージに上がったあと、じつは間違いでホントの受賞作は『ムーンライト』だとわかったあとのあの対応。素晴らしかったと思います。司会者の「いっそもらっとけば?」という言葉に対して「ムーンライトにこのオスカーを手渡せることを光栄に思う」っていうセリフをとっさに言えるなんて・・。ああいう思いもしなかった事態に放り込まれた時、人間ってのは頭が混乱して慌てまくり、ふだんなら胸の中に納めておくような言葉でも、つい言ってしまったり、感情が表情にそのまま出たりするもんです。そういう点から考えれば、あのセリフは、心の底から「光栄に思った」からこそ出たわけで。
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主演女優賞を獲得したエマ・ストーンも、授賞式のあとのインタビューで間違いがわかった時のスタッフの気持ちについて質問されていました。そしてやっぱり素晴らしく大人の受け答えをし、「MoonLight,Congratulations!」笑顔でこう讃えたあと、サムズアップ、そして退場。。。

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笑いでごまかすこともをず、落胆した姿を見せるわけでもなく、間違いを間違いとして受け入れ、相手の受賞を心から讃える、『ラ・ラ・ランド』スタッフの爽やかでいて堂々たる対応。そしてまた、間違えられてしまった『ラ・ラ・ランド』スタッフに対する心配りを忘れず、それをコメントに織り込んだ『ムーンライト』のスタッフの感謝と思いやりに満ちた対応。お見事でした。

長い間培われてきたアカデミーの格式と伝統は、妙な軽さの中にもどっこい生きている、そういうことですね。見習いたいと思います。

いいものを見せてもらいました。ありがとう。


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by starforestspring | 2017-03-16 20:03 | 映画・ドラマ | Comments(0)

『ラ・ラ・ランド』3

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今、二回目を観て帰ってきました。
先週より上映回数が減り、スクリーンも小さくなっていました。上映開始10分前にチケットに記載されてるスクリーンに向かいました。入り口を塞いで、進みもせずよけもせずの(富山人の悪しき特徴のひとつ)女性二人組の横を憤慨しながらすりぬけ、中に入ってびっくり。なんとなんと、席の半分くらいが埋まってるではないですか。私はH列だったのですが、横一列で空いてるのは数えるほど。ビックリしました。それからしばらく自分の席に座って周りを見回してるうちに、なんだか妙な強迫観念に襲われましてね。

「これ・・スクリーンを間違えてしまったんじゃ?」

『チアダン』(ご存知広瀬すずさん主演の実話ベースの学園もの)か『真白の恋』(富山県射水市がロケ地。当然富山では人気)のスクリーンに間違えて入ったのかもしれない。あの二人組のせいで、スクリーンボードちゃんとみてなかったし・・・。

それからも続々入ってくる人たち。誰かが私に向かって「あの・・そこ私の席ですけど」なんて冷たい視線を送ってきたらどうしようか・・・。そんなとき、私の左横に座った中年の女性がいましたので、思い切って彼女に聞いてみました。

「あのすみません、ここ、スクリーン1で間違いないですか?」
「はい?ああ、そうですよ。『ラ・ラ・ランド』ですよね?」
「そうですか。ありがとうございます。。。」

なんだこいつは?と不審げな視線を横顔に感じながら、私はようやく落ち着いて座ってることが出来たのでありました。前回観たときは、一桁しか観客がいなかったのに、これはいったいどういうことなのでしょう?

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まあ、そんな分析はいいです。
で、『ラ・ラ・ランド』私やっぱりこの映画好きです。2回目観に行ってよかったと思いました。前回「歌・音楽・映像・ダンス、それから無音。これらが絶妙のバランスで編み込まれたおしゃれな作品」と書きましたが、我ながらいいとこ突いてると思います。とくに最後の“セブズ”での二人の再会シーン。セブがマイクで「Welcome,Seb's」とささやいてから(これはもちろんミアに向けて発せられたものでしょう)例の曲の第一音を鍵盤でたたくまでの長い無音の素晴らしさ!

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この無音に私は、フルトヴェングラーによるバイロイトでの交響曲第9番第4楽章、あのフェルマータを想起したのでした>褒めすぎ?

ミアが故郷に帰ってしまってからかかってきた“大作”のオーディションの電話。長い距離を走ってミアに知らせに行くセブ。「家の前の図書館で映画を・・」というミアの言葉だけを頼りに車を走らせる。家にたどり着き、二人の出会いの時に慣らしたクラクションを大きく慣らす。出てきたミア。何百回とオーディションに落ちた、今度落ちたら私はもう・・と絶句する彼女を励ますセブ。

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オーディションが終わってミアの合格を疑わず、“リハーサル3ヶ月、撮影4ヶ月”パリに滞在する間、君は余計なことを考えず、作品に集中するべきだと諭すセブ。「私たちはどうなるの?」そう尋ねるミアにセブは「しばらく棚上げ。僕はこの町で頑張る」と。

そうしてあの無音と、怒濤の“10分間”につながるのです!この構成の妙!書き割り、群舞、鮮やかな色彩、古き良き時代のミュージカルを思わせるあの息をもつかせぬ10分間。

セブのいるステージ、ミアのいる出口、距離はかなり離れてるのだけど、その距離を感じさせないのは、二人がこれまで過ごしてきたお互いへの5年間の想い。目に涙をためたミア。寂しそうな、嬉しそうな表情のセブ。ミアが微笑むとセブも微笑みを返す。ミアの姿がドアの向こうに消え、そしてセブが次の曲の第一音の鍵盤をたたこうとするところでエンドマーク。

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・・・いい映画なんです。

ご当地のスクリーンで観られるうちに、ぜひお出かけ下さい。
スクリーンで観てこそ、魅力を十二分に感じ取れる作品だということを、強く強く申し上げたい。


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休日ですので、家に帰ってからDISCASのDVDを観る予定だったのですが、この映画の感動をそのまま抱いて眠りたい気分ですので、やめました。



by starforestspring | 2017-03-15 18:23 | 映画・ドラマ | Comments(0)

『ラ・ラ・ランド』2

昔、MGMの映画がもたらすものは、驚きばかりでした。『風と共に去りぬ』『オズの魔法使い』『ベン・ハー』『2001年宇宙の旅』『雨に歌えば』アメリカ人の陽気な笑い声。広い部屋。大きなベッド。想像を超えるスケール。スクリーンの向こうは憧れの世界でした。あの憧れに素直に従い、ちゃんと英語を勉強しておけば、字幕なしで映画を観ることくらい出来たかもしれないのに。英語で理解したいですよねえ、映画。

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『ラ・ラ・ランド』で見所はたくさんあったのですが、面白いなあと思ったのは主役の二人が乗る車。セブはコテコテのアメ車。しかもいつの時代だこれ?っていう古い車。映画のパンフレットによるとビュイック・リビエラ・コンバーチブルというそうです。現代においては過去の遺物というか、「 なぜいまその車を?」が自然な反応。

対してミア。なんとなんとのトヨタプリウス。(ミアが言葉として発する“プリウス”は、私たちが普段口にし、耳にする“プリウス”とは別物でした!)ミアが出かけたパーティー(業界人の集まり)の出席者の多くがこれに乗ってるのです。(プリウスのキーばかりが映ってるシーンがあった)ということは、ロスアンゼルスの映画に関わる人たちにこの車は人気だってことです。
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古きよき時代のジャズを追い求めるセブ。映画スタジオのコーヒーショップでバイトしながら、女優を夢見るミア。二人のそれぞれの夢を、二人が乗る車から推し量ることが出来るということです。

プリウスのキーが映るシーンのあとで、セブが言った「顎にリモコンを当ててボタンを押すと、頭がアンテナになってふだんより遠くに信号が飛ぶ」 っていうセブの言葉。映画を観た人は半信半疑で試しているに違いない。>私はやった。

今日は10日。毎度毎度の地獄の10日間は終わりました。明日からは今日までのような緊迫感をもった仕事はしなくてすみます。休みもとれるし。ということで私、もう一度この映画を観に行くことにしました。高速道路の踊りの流れをもう一度確認したいのと、スカイラインGLでホントに間違いないかと、夜景をバックにタップダンスを踊る二人を堪能したいのと、繰り返し登場した滝廉太郎氏のメロディを確認したいので。

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“興奮”とか“感動”とか、そういう言葉を持ってこられるとちょっと首をかしげてしまうのですが、“気分の高揚”、“ドキドキワクワク感”であれば、間違いなくこの映画にそれはあると思います。

次の水曜日、もう一回出かけていって、ドキドキワクワクしてきます。
アカデミー賞授賞式のあの事件は、その後に見るつもり。


gonbe5515

明日は3月11日です。























by starforestspring | 2017-03-10 21:00 | 映画・ドラマ | Comments(0)

『ラ・ラ・ランド』

『ラ・ラ・ランド』観てきました。
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歌・音楽・映像・ダンス、それから無音。これらが絶妙のバランスで編み込まれたおしゃれな作品。上映時間2時間8分。たったこれだけの時間、映画館の暗闇の中に黙って座っていればいい。館内が明るくなり、闇の向こうから真っ白なスクリーンが再び現れたとき、この映画を観ることに決めた自分をきっと褒めてやりたくなる。

この作品はミュージカルに分類されるそうです。ミュージカルと言えば思い出すのはメトロ・ゴールドウィン・メイヤー。ライオンが吠えるマークで有名なあの『MGM』です。日本と戦争中にも作っていたという、とんでもない会社です。(実際、1940年~1945年までの両国で作られた映画を比較してみると興味深いものがある)絢爛豪華。その華やかさ、豪華さ。芸としての歌、ダンスを観たいなら、『ザッツ・エンターテイメント』を。ここに凝縮されています。ミュージカルの教科書、カタログと申し上げてもいいでしょう。

そもそも私はミュージカル映画が好きなのです(オペラも好き)。この映画の分類を見て「ミュージカルはなあ・・。いきなり歌って踊り出すからわけわからんし・・。」と躊躇しておられるそこのあなた。この作品は『レ・ミゼラブル』みたいに、歌がセリフになってるような、そういうものではないのです。歌と踊りは時々に入ってくるだけ。主人公二人の感情の揺れ・・戸惑いとか高揚とか、そういうなんていうか、「こうすることが一番わかってもらいやすいの!っていうシーンでしか踊りませんし歌いません。

ちょっと話がそれますが、私は常々申し上げたいことがある。ミュージカルをさっきの言葉、「いきなり・・わけわからん」 のように揶揄する方もおられますが、それはミュージカル映画を観る心づもりが出来てないだけで、歌と踊りを待ち望む気持ちで観ていれば、「お、きた!待ってました ~!」と、拍手が出るようなものなのです。『雨に唄えば』ご存知ですよね?ジーンケリーの有名なあのシーンを思い浮かべてごらんなさい。あの流れでは彼がそのまま立ち去るほうがおかしい。あそこは踊り出してこそ自然じゃないですか!

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高速道路の群舞、夜景をバックにしたタップダンス、天文台での空中遊泳・・。どのシーンも楽しませてくれること請け合い。正直言えば高速道路のシーンは、ダンスより遠くに見えるロスアンゼルスの町並みのほうが興味深かったです。ずっと向こうまで見えるってすごいわ(すいません、私、盆地育ちなもんで)。それから、渋滞してる車の中に、ニッサンの箱スカ(たぶんだけど、あれはGL)があったのを見逃しませんでしたよ私は。


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途中はしょります。ここでつらつらと書くよりは、実際に出かけていってごらんになっていただくほうがはるかにわかりやすい。ネタバレなしに書くのも難しいし。ただ・・・ただなんていうかここがキモだったのだろうと思うのが、「5年後」というテロップが出てからあとの展開です。あそこからさらに観客は、現実のような非現実、非現実のような現実の世界に連れていかれるのです。ご覧になる時は、そこから先、スクリーンから目を離さないようにお願いします。ポップコーンに視線を移しちゃうと見落としてしまいますぜ。


とにかく

映像と音楽とダンスとが奏でる不思議な夢の世界に貴方もでかけてみてはいかがでしょう?一人で観て、あとでゆっくり思いにふけるもよし、みんなで出かけて、見終わったあと喫茶店で意見交換するもよし。

“アフター”が楽しい素敵な作品だと思います。

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しかしなんですなあ・・・

この作品は映画館のスクリーン、音響、高い天井の下で鑑賞した場合と、自宅のテレビで(ミニシアター設備を持ってらっしゃる方は除く)鑑賞する場合とでは、天と地ほどの味わいの違いが出てしまうでしょう。作品を堪能するのであれば、ここはなにがなんでも映画館に出かけていただかねばならない。私、この作品のレンタルが出ても、借りないでおこうと思ってます。我が家のシステムで再生しても、がっかりするだけのような気がしましてね。

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世の中には、なんでこんなものをスクリーンにかけるんだ・・という作品が少なからずあります。だからこそレンタルという商売がテープ、DVD、BD、配信と、今に至っても成りたっているのです。しかし、映画館という環境で観てこそわかるものがある。映画館でなければ、味わえない感動がある。そういうものもやはり存在するのです。映画は映画館というハコも含めた総合芸術なのだと、改めて思い知るのです。

悪いことは言いません。レイトショーでもなんでも、ご覧になるなら映画館で。

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この映画のタイトル、『ラ・ラ・ランド』というのは、夢の国とか、おとぎ話とか、ロスにある映画スタジオ界隈の地域を指すとかそういう意味だそうです。が、このタイトルの意味するところは、最後の10分に出てくる、あれ。あのシーンのことだよねと、私は勝手に解釈しました。

ハッピーエンド?いやちがう。
じゃ、アンハッピーエンド?
いや、それも違う。

じゃなに?

“大人のハッピーエンド” です。

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この映画、お勧めです。


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・・・・あれが滝廉太郎氏の楽曲だったと気づかなかった自分が恥ずかしい。






by starforestspring | 2017-03-09 18:47 | 映画・ドラマ | Comments(0)

『ヴィヴィアンマイアーを探して』

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ジョン・ラルーフという青年がいた。
彼は自分の研究に生かすため、シカゴの町並みを映した写真を探していた。
探しているものが見つかるかもしれない・・そんな気持ちで彼は、近所で行われたオークションに参加し、そこでネガの詰まった箱を落札した。380ドルだった。

その箱の中に詰め込まれていたネガをスキャンしてみると、そこに現れたのは・・・。

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私は写真が好き。
人物だったり、風景だったり、動物、魚、昆虫、あるいは星。

動かない写真。

全てとは言わない。それらの中には、見るものに語りかけてくるものがある。
私はその写真が語る話を聞くのが好きなのだ。


太宰治さんが、大勢の人が写ってる写真の、その一人一人の人生について考えると、時が経つのを忘れる、そんな意味のことを書いておられたことを思い出す。

そんな私を最近驚かせてくれた写真家が、横内勝司さんであり、そしてミス・ヴィヴィアン・マイヤーである。



眺めていると、時が経つのを忘れてしまう写真。
そういう写真と出会えた幸運に感謝しなければならない。
お百度参りしたって、丑三つ時にわら人形に五寸釘を打ち込んだって、なかなかそんなことが起こるものではない。

ミス・ヴィヴィアン・マイヤーは、生涯結婚せず、撮影した写真を公開することもなく、一人で亡くなったそうだ。享年83才。この映画は彼女が過ごした時間、場所、行動、言葉などを教えてくれるのだけど、そこに浮き出てくる印象を一言で表すなら

“変人”

これに尽きる。

しかしまた、ここで私は、またしても別の言葉を思い出すのである。
黒澤明監督の言葉。
「よくこの作品のテーマはなんですかときかれるけれど、そんなもの、シャシン(ここでは映画の意)を観ればわかるんだよシャシンを!」

彼女が変人であっても、癇癪持ちであっても、彼女の撮った写真にはドラマがある。雄弁に彼女について語りかけてくれる。
ミス・ヴィヴィアン・マイヤーは、私たちに、素晴らしい写真を残してくれた。
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心からお礼を申し上げる。ありがとう。


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by starforestspring | 2017-02-28 15:00 | 映画・ドラマ | Comments(2)

『 ディアピョンヤン』

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ヤンヨンヒ監督が父、そして母を手持ちビデオで撮影したドキュメンタリー。撮影期間は10年にわたるらしい。映画は自宅(大阪市生野区。区民の20%を越える外国籍の人が住む。その多くが韓国・朝鮮籍)での食事風景から始まる。食卓の向こうに父、手前右側に母が座り、カメラを持ったヤン監督と、日本語、朝鮮語まじりの会話が進んでいく。
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『かぞくのくに』という映画を観て感じた北朝鮮という国のもつ不可思議さ、窮屈さ、そして目に見えない怖さ。それらが少しは形を成してくれないだろうかと思ったのが、この『ディアピョンヤン』を観ることにしたきっかけ。その思いは一部叶えられ、多くはやはり霧の中のままだった。
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朝鮮総連の幹部として、北朝鮮と金日成、金正日に忠誠を誓ったヤン監督の父。その揺るぎない祖国と指導者に対する忠誠は、息子たち3人を帰国事業により祖国に帰すという形で表現される。日本に残ったのは、父と母、そして末娘のヤン監督。海のむこうとこちらで離れて暮らす家族。その家族をつなぐのは、母が息子とその家族たちへと、せっせと送る仕送り品を詰めた山ほどの段ボール箱、そして万景峰号。
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カメラ(娘)にむかって自分の生き方と、家族への気持ちを素朴な言葉で語りかける父親。その言葉は時には笑いと、時には痛切な哀しみを伴って発せられる。


父はたぶん気づいているはずなのだ。自分の手で息子たちを祖国に帰したことが過ちだったと。そして同時に信じているはずなのだ。息子たちを祖国に帰した自分の行為は、決して間違いではなかったことを。
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映画の最初で、自転車に乗って町を走り抜ける父。ステテコ姿で畳の上を笑いながら転がる父。娘と、妻との会話は大阪に住む人らしいおかしみをもって実にほほえましく交されるのだけれど、映画が進むにつれ父は老い、病に倒れ、生死の狭間を行き交う。苦しそうな呼吸、からむ痰の音、途切れ途切れの言葉、そして泣き声。 ビデオカメラに切り取られたアボジ(父親)の姿は、それが素の映像であるがゆえに、私たちの心の奥深いところを突き刺す。


『ディアピョンヤン』は二つの国の姿を映す映画であり、ひとつの家族を映す映画である。と同時に、父、母、そして娘の、すぐれたドキュメンタリーである。



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次は『愛しきソナ』を観たいのだけど(ソナは北朝鮮に帰国した兄の娘)、DISCASではヒットせず。
チッ!


by starforestspring | 2017-02-26 15:35 | 映画・ドラマ | Comments(0)


タベリストgonbe     よしなしごとつづり


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