2017年 04月 16日 ( 1 )

余白の美

墨をすって筆で文字を書く。
そんなことをしなくなって一体何年経つのか。
両手の指では足りない。両足の指を足してもまだ足りない。

カシ子さん、鳩子さんが筆を持って文字を書いてる姿を見て、すっかり忘れていた我が身の恥を思い出してしまいました。
「墨をすると、心が落ち着くものです。文字を書く前に墨をすることで、気持ちを整えるのです。」
習字の先生がそんなことを教えてくれてたけれど、もちろん子どもの私にそれを理解することは出来ず。椅子に座って墨を前後にこすってるより、広いグラウンドでサッカーボールを蹴ってるほうが絶対いいと思ってましたし。(そんな私が今、草むしりをしてると無心になれるのは不思議だ)

白い半紙に黒い墨。
白と黒。色はふたつあるのだけれど、習字を始めた頃の私は、黒、その一色だけが色だった。半紙は背景であり、黒を乗せるだけのもの。そんなふうに軽く考えていた。そんな私に一大転機をくれた人がいた。彼女は子どものころから習字一筋ウン十年、立派な師範様でいらっしゃる。その作品を見せてもらったとき、半紙に書かれている文字を、私は解読出来なかったが、半紙の中にある文字と、半紙とのバランスが実に何とも微妙な美しさを作り出してることはわかった。ほんの1cm、上にいったり横にずれたりしたら、きっと全然違う作品になるだろうということは想像できた。

黒い文字。それを支える白い紙。
そのふたつがそれぞれに存在し、同じ場所にいることで、より以上の美をつくりだすことが出来る。なんだかとてもいいことを知った。そんな気分だった。

なにも書かれてないところ、すきま。無。そんなふうに思えるところが、ホントはとてもいい仕事をしており、その存在なくして映えるものこれなし・・・なのだと知ることは、山菜の苦みを美味しいと気づくことに似てる気がする。

見えぬけれどもあるんだよ
見えぬものでもあるんだよ

金子みすずさんの『星とたんぽぽ』を読んだとき、泣きたくなるほど共感出来たのは、墨と半紙の間柄に気づいていたからではなかろうか。

見えないものにこころを寄せる。
書かれてないことに思いをはせる。

『余白の美』いいなあ。


gonbe5515


by starforestspring | 2017-04-16 20:52 | 雑感 | Comments(0)


タベリストgonbe     よしなしごとつづり


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