『春との旅』2

昨夜あれからもう一度『春との旅』を観ました。
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この映画にはセリフのない、“間がたくさんあります。画面には無言の出演者だけが映ってる。なにも喋ってないのだけど、その時に見せるしぐさ、表情がたまりません。監督さんが細かい演技指導をされたのでしょう。そしてその指導に、俳優女優さんが見事に応えた結果が、あの“画”なのでしょう。


いやあ、いい映画を観た。


とはいえ、気になるところも結構あるのです。


1.忠男はどうしてあんなにわがままで甘えたな性格なのか。はるはどうしてそういう祖父と一緒にいたがるのか。

2.はるの歩き方。
なぜ、あんながに股?いや、がに股が悪い訳ではなく、私の知ってるああいう歩きかたをする人は、脚の太ももから足首にかけてがカーブを描くO脚になってました。それが理由ではるのような歩き方だったのですが、はるの脚はそんなふうになってないのに、あの歩き方をさせるのは不自然。あえてそうさせる理由はなに?

3.はるの服。
2回目を見た時に途中まで数えてみたのだが、民宿やホテルに泊まった時、ベンチで寝たとき、映像では映されなかったけど、夜から朝につながる時間が映像として提示されたときを含めると、最低でも6日間は、旅をしている。

なのに、はるの服(スカート、ソックス、セーター)がずっと同じなのはなぜ?19才の女のコが着たきりすずめのままでいるのなんて考えられない。まして大きなリュックを背負っているのだ。そのリュックの中に入ってるのが服じゃなければいったいなんなのだ?着替えを持たずに出かける19才はいないと思うぞ。
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4.伸子さん。忠男とはるに近づいていって、はると挨拶を交わしたあと、「こちらの耳が聴こえないんです。」と立ち位置を変えられましたね。そして「もう一度お願いします」とはるに頼みましたね。伸子さん、耳が聴こえない人は、人と会ったその瞬間、聞こえる方の耳が相手に向くように、立ち位置を決める習性が身についてるものなんですよ。もうひとつ言うなら、聴こえない人は、聴こえる人より、少し大きな声でしゃべってしまうもんです。それにあなた、忠男さんとふたりきりで話をしてるとき、聴こえないほうの耳を忠男さんに向けてたじゃないですか。

惜しいなあ・・実に惜しい。そこのところを徹底してくれてたら、私はもっともっとこの映画に感心して、惚れ込んでいましたよ。聴こえる人はなんの違和感もなく見過ごすシーンでしょうが、聴こえない人はこういうとこ、見逃しませんからね。難聴者の方からアドバイスをもらったほうがよかったのに>小林監督


5.そば屋。
閉店時間が来たのなら、のれんを片付けるのはいい。でも忠男とはる、ふたりの客がいてそばを食べてるなら、客商売である以上電気は落とさないでしょう?嫌がらせですか?そのわりに延々と続く二人の会話は放置でしたよね。もうひとつ。二人は蕎麦を食べながら語りあってるのだけど、忠男が食べてる盛りそば、いったいどれだけの量があるんでしょう!そばを箸でとった回数と口に運んだ量から推測すると、特盛りくらいですか?

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6.北海道に戻ったときのフェリーの中、忠男はおにぎりを、はるはカップ麺を、食べるのをためらいました。前後のシーンとはなんのつながりもなく、ただそれだけのシーンでした。これの意味するところは?


この映画、小説としても発表されてますので、小説を読んだら、これらの「?」が解けるかもしれません。・・・・ということで、先ほど図書館に予約を入れました。図書館のネット予約は便利だなあ。

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わからないところだったり、それはないだろうだったりするところはたくさんあるのですが、それでもなお、この映画はよかったと私は申し上げたい。ワンシーンワンカットも見応えのあるものでした。長回しに耐える俳優さん、女優さんを選んだこととはもちろん、監督の演技指導の賜物でしょう。多くの出演者がアップで撮られていて、それぞれに魅力的でした。中でもはる(徳永えりさん)のアップはよかった。特に初日の夜の民宿の風呂上がりと、最後のそば屋のシーンが。

繰り返し観たシーンがいくつもある。特に、父親に会いに行き、2人きりになった時の会話。蕎麦を食べながらの忠男とのふたり語りは秀逸だった。「映画になった」シーンを観られたことに、心からお礼を言いたい。

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2回目に観た時、ラストシーン近くで、メーテルリンクの青い鳥をふと思い出した。忠男は、この旅で、自分の幸せを見つけることが出来たのだ。はるは・・・これからどうするんだろう。あの掘っ立て小屋のようなボロい家で、役場か水産工場か、果樹園かで仕事をみつけ、一人で暮らしていくんだろうか。それとも茂子さんのところへ?父のところへ?


観終わったあと、自分でいろいろ勝手な想像をふくらませて時間を過ごせる。そのことも、いい映画と評することが出来る理由のひとつだろう。

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納得のいかない部分を補って余りある魅力にあふれた、本当に素敵な映画でありました。


私は嬉しい。


・・・・And that's the way it is.

gonbe5515








by starforestspring | 2017-10-24 18:17 | 映画・ドラマ | Comments(2)
Commented by marrella at 2017-10-24 21:03 x
『春との旅』は私も大好きです。

仲代達矢さんの存在感は圧倒的だし、徳永えりさんの陰のある演技も光っています。あの歩き方もきっと演技だと思います。

ずっと着た切り雀なのも、何となく「不幸感」を醸し出しているのだと思います。

また、じっくりと観てみます。


Commented by starforestspring at 2017-10-25 21:14
marrellaさん、ご覧になってましたか。
仲代達矢さんの演技は、ともすると舞台風に大げさになってしまうことがあるように感じていたのですが、この映画ではそれほどでもなく、なさけない老人を、味わい深く演じておられたように思います>エラソウにすみません。

増毛、地図で調べてみました。あんなところにあるんですね。気仙沼や仙台に行くまで、どういう方法で、どれだけの時間がかかったんだろうと思うと、またひとつ味わい方が増えるような気がしています。

これからまた観るんですけど、あの二人の後ろ姿が映されてるところで、しばらく映像を止めようと思っています。あの後ろ姿は、いい。



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