621円=611円  ?

昨日、仕事を速く切り上げていつもの酒屋、Y屋にいきました。
数あるビールの中で一番好きな『モルツ』は、ここでしか買えないのです。
で、いつものとおり500mlを2本、ニョーボ用にチューハイを1本カゴにいれまして、レジに行ったわけです。

レジにいたスタッフ(ネームプレートを読むと店長だった)は、カゴを受け取りバーコードを読んで「621円です」と私に告げました。
私は小銭入れを持ってないので小銭はいつもズボンのポケットに入れてます。ポケットに手を突っ込み、小銭をひとつかみして取り出し、掌に広げて100円玉を5枚、50円玉を2枚、10円玉を2枚1円玉を1枚トレイに置きました。すると彼は、それをむんずとつかみ(ここからが大事なのですが)キャッシャーの穴の中に放り込んだのです。私はレシートが打ち出されるのを待っていたのですが、いつまで待っても彼は動かず、私のほうを見てる。「なにか?」私は問いました。「10円たりません。611円しかいただいておりませんので、あと10円おねがいします。」

私がお金というものを扱うようになってからほぼ半世紀。
#その間に500円札が消えたり、500円玉が出来たり、2000円札が出来たりいろいろありました#
銀色の100円玉、50円玉、白の1円玉と、茶褐色の10円玉のコントラストを見間違えるほどモウロクはしておりません。山ほどある小銭を処分したくて、小銭だけで支払をしようとし、621円を払うときに銀色と白の中に茶褐色が二枚、確かにあったことは間違いありません。

「確かに10円玉を2枚出しましたよ」
「そうはおっしゃっても、機械では611円と出ておりますから」
「人間より機械を信じるんですか?銀行のATMだってお金を判別出来ないことがあるんですよ」
「いえ、ですから・・・611円と出ておりますので。」
「私は見てたんですが、あなた、私が出したお金を数えもせずに放り込みましたよね。自分の目で数えることをせず、機械に丸投げするのってどうなんですか?」

「それに・・・」私は続けました。
「機械にお金を放り込むだけなら、私にだって出来ますよ。キャッシャーの向きを変えてこっちに向ければいいじゃないですか。そしたらあなたはレジの仕事をせずにすみます」
「わかりました。」彼は言いました。
「そこまでおっしゃるなら、レジの中の10円玉の数を数えてみましょう。」
そういうと彼はキャッシャーのボタンをいくつかたたき、ペーパーをプリントアウトして私の前に差し出しました。そこにはキャッシャーの中にある100円玉、50円玉、10円玉、5円玉、1円玉がそれぞれいくつ入っているか、合計でいくらになるかという集計表でした。
「ご覧のように10円玉は57枚と出ています。お客様が実際の10円玉が何枚あるか数えてみましょう。」
そして彼はキャッシャーから10円玉だけを排出させ、テーブルの上に並べて数え始めました。
10円玉は57枚。彼の勝ち誇った顔。

「57枚って機械が数えてるなら、57枚あってあたりまえじゃないですか?」私は言いました。

何度も言いますが、私は茶褐色の10円玉がふたつ、銀色と白の中にまじっているのを目視で確認してから、彼にそのお金をとるよう促しました。彼はそれをむんずとつかみ、確認することなくキャッシャーに放り込んだのです。そして機械の「1枚足りないッす」と言うのをそのまま私に伝えた。

「納得はしてないから。売上げ集計より売上げ金額が10円多かったらそれは私のだから、よけといてください。」
そう言って私はまたポケットに手を突っ込み茶褐色の10円玉を1枚、トレイの上に置きました。



スーパーのレジのおばさんだってPOSシステムで表示された金額をお客に伝え、お客が出したお金を一枚一枚声に出して数えて入金し、精算をします。
私が間違えたり、おばさんが間違えたりすることがたまにありますが、それは二人の人間がお互いの目と頭を使ってお金を数え、双方の出した答えが違ったからこそ“どっちかがまちがえた”ということに気づくのです。客が出したお金をおばさんが“チェック”してくれる。であればこそ、「お客さん、あと10円足りません」って言われても、「ああ、ゴメンゴメン」って素直に謝れる。また逆に、「10円多いですのでお返しします」ってときだってあるわけで、そんなときは「ありがとう!」って感謝します。

そのチェックすべき人が、その行為を機械に任せるのなら、自動販売機と変わらないじゃないですか。自動販売機でお金を間違えられたこと、私数回ありますよ。110円いれてもランプが点かなかったので、試みにあと10円入れたらランプがついて、商品と一緒におつり受けに10円落ちてきたり。

Y屋がお金のカウントをすることが出来るキャッシャーを導入したのは、それなりの理由があるのでしょう。でも昨日の店長のように、客が出したお金をチェックするという“仕事”を機械に丸投げせよという通達を出しているとはとても思えません。客がお金を出し、それをスタッフが数えて確認し、さらにキャッシャーがそれを裏付け万全を期す。そういうふうな使い方を目指しているはずなのです。そうそう、不正の防止というのもあるかもしれませんね。

しかし昨日私が行った店ではそうはなってない。
店長がそうなんですから、メンバーももちろんそうなんでしょう。
自分たちがするべき仕事を機械にまかせるなら、それこそ自動販売機でかわりになるのです。もしくは近年スーパーで見かけるようになったセルフレジにしたっていいわけです。#ちなみに私はセルフレジ反対論者です。

ATMも間違える。自動販売機だって間違える。少なくとも現代において、まだ機械は100%ではない。

店長、あなたがあなたの目でお金を数え、「お客さん、10円足りませんよ」って言ったなら、私はあと10円をポケットから出したでしょう。そして自分の間違いを詫びたでしょう。
でもあなたはそれをしなかった。人間だって万能ではないけれど、すくなくとも茶褐色二枚を確信して出してる一人の客に対して、なにもしなかったあなたの「10円足りません」は、なんの説得力もありませんでした。しかも客に詫びさせるどころか怒らせる結果を生んでしまったのです。

それで客商売が出来ますか?

gonbe5515

モルツは魅力的だけど、あの店にはもう行きたくない。
でも、10円返してくれるかもしれないから、あと2,3回は行こうかな。
by starforestspring | 2014-07-18 20:37 | それでいいのか日本人 | Comments(0)
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