ヒミズ

自分の中では結構よりどころにしていた“ムダに律儀な毎日更新”が最近出来ていません。
置かれた環境が変われば、出来ることも変わる。。そういうことなのです。
それでも・・私は守っていきたいのですけれど。

昨日は楽しみにしている『浪花少年探偵団』の第7回でしたが、残念ながらまだ見ていません。今夜帰ったら見られると思います。楽しみは後に残すのは好きではないタイプですが、ドキドキワクワク感がいや増すのは否定出来ません。

さて、
先日『ヒミズ』という映画を見ました。
染谷くんと二階堂さんがマストロヤンニ賞を受賞したことで一躍注目を浴びた作品です。
染谷くんの目の演技には感心させられたけど、私は二階堂さんにより注目しました。

監督は、ご存知園子温さんです。
『愛のむきだし』で私は彼のファンになりましたが、彼の作品はこれと『紀子の食卓』しか見ていないんです。
『冷たい熱帯魚』は、あらすじを読んだり、レビューを読んだりして興味を持ったのですが、たぶん私にはムリだろうと、ビビッてしまっています。
血がたくさん流れて、結構残酷なシーンがあるそうで・・。
 #私は最初、この映画のタイトルを読んで懐かしの二人組Winkを連想していました。


自分の子供に対して「おまえさえいなければ」とか「死んでくれ」とか言う親。
現実に存在するものでしょうか?
映画を見てて一番最初に引っかかったのはここなんです。

心に思っている親はいるかもしれない・・でも口にはしないような気がする。。
いやいや・・甘い。世の中には私なんかの想像を超えた人が存在しますから。。
いるかもしれないなあ。
いたら・・・子供はたまらんだろうなあ。

住田も茶沢も、親から同じことを言われている。
そんな二人の痛くてほほえましく、また哀しい交流と、住田を取り巻くホームレスたち。借金取り。チンピラ。そんな人たちが次々と登場します。


オープニングシーン、

 牛乳の中にいる蝿、その白黒はよくわかる、
 どんな人かは、着ているものでわかる、
 天気が良いか悪いかもわかる、
 林檎の木を見ればどんな林檎だかわかる、
 樹脂を見れば木がわかる、
 皆がみな同じであれば、よくわかる、
 働き者か怠け者かもわかる。
 何だってわかる、自分のこと以外なら

雨の中、この詩を朗読する茶沢の姿に「おっ!」と心をつかまれました。
が、以降、なんだか突拍子もない話が続いていくので、オープニングの興奮はだんだん冷めていってしまったのですが、なんだか不思議な感覚で、見続けてしまい、結局ラストまで。

ラスト、
銃声のあと川に向かって歩いて行き、叫ぶ茶沢の姿が美しかった。
ああいうシーン、好きだなあ。


東北大震災、津波、原発事故。
それらに痛めつけられた人々へのメッセージという話もあるようです。
実際あの震災のあと、脚本は書き換えられたそうですし。


見てて気持ちいい映画かって問われたらそんなことは全然なくて。
じゃ、気持ち悪い映画かって問われても、「うん」とは答えられなくて。
目を背けたくなるシーンもあるんだけど、もう一度同じ所をみたくなる所もあり。

不思議な、なんだか忘れられない。
そんな映画でした。
ヒミズ_b0137175_2120479.jpg




レオス・カラックスの匂い・・・かもしれません。


gonbe5515


そうして私は今日、ポチッとして、BDを買ってしまったのでした。
ヴィヨンの詩集(岩波文庫)は買わなかったのに。>絶版でして、中古で2000円。
映画に出てきた詩、ヴィヨンの「軽口のバラード」ここで全部よめます。
ページが出たら、下の方に少しスクロールしてください。
by starforestspring | 2012-08-14 15:39 | 映画・ドラマ | Comments(2)
Commented by かわたべ5678 at 2012-08-15 11:50 x
話が重くなっちゃうので書くかどうか迷ったのですが・・・
「あんたなんか死んでしまえばいい」って、母に言われた事があります。小学生低学年の時です。母はその場の弾みで言っただけだろうと思いますが、僕は今でも引きずってるし、人格への影響も少なくなかっただろうと思います。

そういう事がテーマなら、『ヒミズ』はガツンと来そうですね。僕も実は『愛のむきだし』と『恋の罪』しか園子温作品は観てません。すごく共感出来る部分と全く共感出来ない部分が混在してる作家ですよね、この人は。
Commented by starforestspring at 2012-08-15 17:01
>母に言われた事があります。
まさかこんなに身近におられるとは・・。
お気持ちお察しいたします。
子供にとっては、どうすりゃいいんだ!って叫びたくなるような言葉ですよね。

『ヒミズ』の住田と茶沢は、それを繰り返し繰り返し聞かされます。茶沢は両親の手によって絞首台まで作られ、「さあ昇れ!」と強要されるのです。

そんな二人が、何を求め、どこに向かっていくのか。

>共感出来る部分と全く共感出来ない部分が混在してる作家
であればこそ、熱烈なファンが多いんでしょうね。
誰にも好かれる広い年代に支持される監督も素晴らしいでしょうが、コアなファンをつかんで離さない監督の方が私には魅力的に思えます。
だから私は、レオス・カラックスが好きなのだろうと思うのです。
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