ルート225 

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多部未華子さんの魅力にとりつかれ始めた頃に観た映画、『ルート225』
“ちょっと違う世界”に来てしまった姉と弟が、その世界からの脱出を図るべく、いろいろと知恵をしぼる。

だいたい、これまでこういう“不思議系”の映画は、たいていラストがハッピーエンドで、観ているほうに「よかったよかった。。」と胸をなで下ろさせるものが多かったような気がするのですが、この映画には、そういう“救い”がありません。
“救いがない”こと、それ自体が物語をよりリアルにしている・・・とも言えます。

ちょっと考えてみたのですが、
たとえば、自分がそういう“ちょっと違う世界”に来てしまったとします。
昨日まで口もきかなかった友人が、満面の笑顔で話しかけてくる。
死んだはずの同級生が犬の散歩をしている。
そんなところにいるのが、自分一人だったら、その現実を否定する前に、自分自身を否定してしまいそうになると思うのです。
「思い違いだ」
「自分がどうかしてしまったんだ」
と。

二人が“ちょっと違う世界”に来てしまったことを知るシーン、いつもの住宅街、角を曲がればまた家が建ち並んでいるはずが、そこは海。広がる砂浜。
どうですか、このシュールさ。
笑っちゃいますよね。

でも、ここには自分ともう一人、ある意味最も信頼出来る存在、弟も一緒に来てしまっている。
そのことが、自分たちがいる世界の不自然さと、自分の感覚の正当性とを証明してくれている。

じゃ、なんでこんなことになってしまったのか?
並の映画ならそっちのほうに重点がおかれ、原因究明の悪戦苦闘→救いのヒント→脱出への挑戦→土壇場にきて危機的状況→危ういところで危機を脱出→元の世界に復帰→なにもなかったような日常、そして回想・・こんなふうに展開していきそうなものなのですが(というよりこんな展開ばかりの映画を観てきたのですが)この映画ではそこのところはわりと簡単に表現され、脱出のための挑戦に長い時間が割かれます。
その挑戦ぶりがなんともほほ笑ましくて。。


ただ、二人がいろいろ考え、手を尽くし、「これだ!」と確信してやった「脱出への最後の挑戦」
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それはたぶん、観るものも二人と同じ気持ちで息を呑んで迎えた瞬間のはずですが、そこに現れたものを観たとき、ふたりは笑ってしまいます。
そこで笑うか?のシーンで、二人は笑ってしまうのです。
#多部未華子さんはそこで笑う理由が分からなかったそうです。


結局姉と弟は、その現実を受け入れるしか道はなくなってしまいます。
それは一見、自分が放り込まれた世界に対する是認、逃避ともとれますが、そうではないのです。
不条理な世界を受け入れる寛容さ、積極的な挑戦なのです。


離れて暮らすことになった姉弟の駅での別れのシーン。
状況の打破はできなかったけど、やるべきことをやった。
ダメだった、もうどうしようもない、でもしょうがない。
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負けてしまったわけではなく、勝てなかった二人が受け入れることにした現実。
その気持ちを共有する二人の短い言葉のやりとりに、思わず涙してしまいます。
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「元気でな〜」
エリ子に声をかけるおじさんの、あまりにも軽いその言いように、一瞬殺意は覚えますが。。


「とりあえず、今日私は15歳になった」

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この映画はこのセリフで終わります。
自転車で駆け降りる坂の向こうに、エリ子にとって明るい未来が待っていることを願わずにはいられません。
いや、きっと明るいはずだ、そうでなくてどうする!


私の『問答無用のランキング <映画編>』トップを飾る映画です。
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gonbe5515

エリ子とダイゴが放り込まれる“ちょっと違う世界”をメタファーとして、“子供の親離れ” “子供が踏み出す大人への第一歩”というふうに解釈する方も多いようです。
そういうレビューを読んで、「なるほどなあ」と感心もするのですが、私としては、そういうことは置いといて、事象としてこの物語を捉え、エリ子とダイゴと一緒に戸惑い、ドキドキすることをお勧めしたいと思います。


かわたべさんのコメントにあったとおり、この作品の制服も捨てがたい魅力があります。
引っ越したあとの、自転車に乗ってるときのほうが、私の好みかな。。
私はセーラー服より、ブレザー系に惹かれます>キッパリ

   って、をいをい・・なんかアブナイ方向?
by starforestspring | 2011-09-01 19:02 | 多部未華子さん | Comments(0)
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